何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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「サッカークラブがある町」の日常。
 2011年10月20日。昨夜、ヴァレンシアFCに逆転勝ちした興奮もさめやらぬなか、再びバイアレナに向かう。この日は午前中、レヴァークーゼンの公開練習が予定されているのだ。
ケルン中央駅からSバーンに乗り、レヴァークーゼン・ミッテ駅で下車。駅の標識に従い、スポーツパークへ。

※スポーツパーク
バイアレナなど、レヴァークーゼン関連のスポーツ施設が集まる一帯の総称。



昨夜歩いたときは真っ暗だった、バイアレナへの道。こんな豊かな自然の中を歩いていくんだ、と初めて気がつく。そりゃ夜は真っ暗になるわ、とも。
※バイアレナへの行き方は「バイアレナに行こう」を参照。


着いた。バイアレナの隣、柵に囲まれたグラウンドが練習場。この柵の前の通路を通って、選手たちがグラウンド入りする。すでにファンが数人、選手たちが現れるのを待っていた。そりゃー昨夜あんないい試合を見せられたら、選手からサインもらったり写真撮ったりしたくなるよね。とまるで他人事のような言いぐさだが、何を隠そう私だって、あわよくば写真撮りたいなーと思ってここに来たのだ。

しかし練習開始の午前10時が近づいても、選手たちがなかなか通路に現れない。柵の隙間からグラウンドを除くと、ゴールキーパーが一人、コーチと組んで練習している。あれはもしや……。

やっぱりアドラーだった。練習を終えて通路に出てきたところを、さっそくファンにつかまっている。ファンから差し出されたグッズに、快くサインをするアドラー。しかし「悔しいだろうなあ」という先入観があるせいか、どことなくその表情が寂しげに見える。本来なら昨夜、レヴァークーゼンのゴールを守っていたのは彼のはずだったのに。

アドラーが練習場から出てきたのを皮切りに、他の選手たちもぽつぽつと通路に姿を見せた。デルディヨク、フリードリッヒ、ギーファー、バリッチュ、そしてドゥット監督らが、通路でファンのサイン依頼に応えた後、練習場に入っていく。
しかしその後が続かない。しばらく待っても誰も現れないのを見て、ようやく気づいた。現れたのは、昨日スタメン出場しなかった選手たちばかりだ。つまりスタメン組は、今日は練習が休みか、別メニューで軽い練習をこなしているのでは。つまりこの練習場には現れないのでは。

いつまでたっても他の選手たちが現れないので、通路で待っていた他のファンもあきらめたらしく、次第に散っていった。帰る者もいれば、練習場を見下ろす「高見台」に移動する者もいる。というのも、前日まで「公開練習」の予定だったこの日の練習が突然「非公開」になったからだ。なので練習場には入れない。

練習が非公開になったのは残念だけど、しゃーない。私も高見台に上ってみた。すでにグラウンドでは選手たちの練習が始まっていた。

平日なので、練習を見に来ているのは定年後のおじさんが多い。高見台から見学しているファンの影法師が、ピッチに長く伸びている。そのさまが、あのwerkselfのイラストにそっくりだった。

レヴァークーゼンのツアーバスにプリントされたwerkselfイラスト

突然、にぎやかな声が聞こえてきたと思ったら、子どもたちが高見台に上ってきた。近くの小学校から、先生に引率されて来たらしい。高見台に上ったとたん、いっせいに柵にはりつく姿がかわいい。

そして先生は、生徒たち以上に真剣な眼差しで練習に見入っていた。せんせー、これも授業の一環ですか?(笑)。単に先生がレヴァークーゼンファンで、自分が見たいから連れて来たって感じもするんですが。でもその気持ち分かるよせんせー。昨夜の試合は本当に、授業をとりやめてまで見に来たくなるいい試合だったしね(決めつけ)。


小学生たちとは別に、お父さんと一緒に来ていた男の子。くるんと上がった前髪がキュート。レヴァークーゼンのタンタンと呼びたい。


高見台から見下ろしているのも飽きたので、下に降りて、柵越しに見学することにした。といっても、練習を見ている時間よりも「練習を見ている一般ファンを見ている時間」の方が長かった。そっちの方が、見ていて飽きなかったのだ。

道路沿いなので、偶然通りかかった人が「あ、練習やってる」って感じで自転車を止めて、しばし見学していくパターンも多い。その気軽さ、さりげなさがうらやましい。

こんな風に、自転車に乗ったまま、気軽にプロの練習を見れる環境っていいなあ。しかしこれも、レヴァークーゼンがそんなに人気がないからできることかも。同じドイツでも、ドルトムントやバイエルンの練習見学はもっと人いっぱいだし。

次第に見学人が増えてくる。しかしおっちゃん率高いな(笑)。若い女性がいっぱいの、Jリーグの練習見学とはえらい違いです。

この日は非公開だったので柵越しだけど、公開日なら柵の中に入れるらしい。柵に落書きなど全くないのが、意外といえば意外。レヴァークーゼンファンはマナーがいいのか。それともファンが少ないからか……?

主力選手たちが現れず、さらに公開から突然非公開になったりと「当てが外れた」練習見学。でも近所の学校から先生が生徒を連れて見学に来たりと、「サッカークラブがある町」の日常を垣間見ることができたのは、よい体験だったと思う。
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ここは日本の大衆食堂? ケルンで人気の韓国料理店
ドイツに来て三日目の10月20日。すでに私は米に飢えていた。
ってオイオイ、まだ三日目だっていうのに早すぎるだろ。5年前のドイツ旅行のときはそんなことなかったのに、むしろ「もっとソーセージとジャガイモ食べたい」って感じだったのに。やはり5才年を取ったことで、食の好みが「あっさり系」へと変化したのか? 行きの飛行機の機内食も口に合わなくて、半分近く残したしなあ。ちなみにKLMオランダ航空でした。

この日は朝からオカジさんとレヴァークーゼンの練習を見に行っていたので、その流れで昼食もオカジさんとご一緒することに。これが私にとってラッキーでした。「ケルンに住んでた友達から聞いたんですが、中央駅の近くに、韓国人がやってる韓国料理店があるんですよ」とオカジさん。ちょ、なにそれ嬉しいちょうど米が食べたいと思ってたねんぜひ行きましょう! と急にテンションが上がる私。いや、その前の練習見学で、主力選手たちが軒並み練習場に現れなかったのでちょっとテンションダウンしてたんですよ。でも「韓国料理」と聞いてがぜん元気になった。もともと韓国料理好きだし。しかも韓国人がやってる、てところがポイント高い。期待に胃袋をふくらませて、その店に向かいました。

「ケルン中央駅の近く」というと、賑やかな繁華街にあるのかと思いきや。大聖堂のあるエリアとは反対側、観光客がほとんどいない「地元民エリア」にその店はありました。
駅から離れれば離れるほど、人通りは少なくなります。歩いているのは地元民だけ。でもだからこそ、日本のガイドブックには載ってなさそうな、地元民行きつけの隠れた名店が潜んでいる匂いがぷんぷんしてきて、期待は高まるばかり。大阪だって、御堂筋や心斎橋筋は大手チェーン店ばかりで、一本入った横道に個人経営の面白い店があるし。とか思ってるうちに着きました。

「DoReMi」という、大文字と小文字入り混ざった看板が目にまぶしい。なんか看板だけ見ると、ちっとも韓国料理っぽくないんですが。飲食店にすら見えない。音楽スタジオのようだ。
門をくぐって中に入ると、店の外にテラス席がありました。さすがドイツ、期待を裏切らないね。韓国料理店にまでテラスつくりますか。しかも別に眺望が良いわけでもない、ビルの谷間の狭いスペースに。別に眺望が良かろうと良くなかろうと、とりあえず店の前にスペースがあればテラス席つくっちゃうドイツ人の、日光浴への執念を垣間見たわ。ってこの店、ドイツ人じゃなくて韓国人経営だったか。でもやはり「郷に入れば郷に従え」で、ドイツの飲食店の風習には逆らえなかったんだろうなあ。

と、店に入る直前に一瞬の不安が胸をよぎったものの。店に一歩入ったとたん「なつかしい……」。もう、日本の大衆食堂の雰囲気そのものなんですよ。店内のテレビが相撲か高校野球中継を流していたらさらに完璧だな。韓国に行ったことないから分からないけど、韓国でも庶民が利用する食堂ってこんな感じなのかも。

壁に貼られているメニューも、大衆的な韓国料理のメニューばかり。値段も手頃。注文を聞く韓国人のおばさんは、当然ながらドイツ語ペラペラ。ビビンバとスープのセットを注文して、テーブル席に座って待機。背後の壁には、韓国の駄菓子やカップラーメンなどがずらりと並んでいて、ちょっとしたコンビニのよう。在独韓国人の人たちにとっては、かなり役立つ店だと思います。土産物屋にあるような、コスパの悪そうな箱入りのお菓子じゃなくて、ほんとにそこらの商店で売ってるような、袋入りのスナック菓子が売っているから。

なかなかの人気店らしく、店内は7割ほどお客で埋まっていました。私たちと同じアジア系もいれば、白人もいて、その割合は半々といったところ。寿司だけじゃなく韓国料理も、ドイツで市民権を得てるんだなーとか思っていると、料理が運ばれてきました。

ぎ、銀シャリだぁ〜! とかぶりつきたくなるのをぐっとこらえて記念撮影。器もちゃんと石焼きのビビンバ器なのがうれしい。っても、このビビンバは石焼きではなさそうだけど。
では、いっただきまーす。苦手なキュウリがたんまり入っているのが難点だけど、それを除けば完璧なビビンバ。肉がちょっと少なかったけど、私はそれほど肉好きじゃないので問題なし。ご飯がやや堅めなのも、具材から出る汁気でご飯がベチョベチョになるのを防いでいてポイント高し。スープも出汁がきいてておいしい。でもドイツ人向け仕様なのか、ビビンバの量がちょっと多いです……。もったいないけど、お腹が苦しくなってきたので半分くらい残しちゃった。この後、郊外のビルケンシュトック専門店に行く予定だから、途中でお腹壊したら困るし。でもたっぷり米を食べられて満足じゃ。本格的な韓国料理!って店ではないけれど、ドイツで気軽に韓国料理を食べたいときの選択肢としては、悪くない店だと思います。

■Doremi
住所/Unter Krahnenbaumen 66, 50668 Koln  0221 5702839
■関連ページ
http://www.qype.com/place/44539-Doremi-Koeln
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シャワーのお湯が止まらない!〜洋館ホテルの理想と現実
ドイツを旅していて楽しいのは、古い建物がたくさん残っていること。日本だったら「レトロな洋館」として観光スポットになりそうな建物があちこちにある。そうした古い洋館は、外から見ているぶんには楽しいが、実際に住むとなるといろいろ不便なことも多い。それらをほんのひととき体験できるのが、Hotel Pension(ホテル・ペンジオン)だと思う。ベルリンなどの都市部では、建物のワンフロアを客室として貸し出しているのが一般的。普通のホテルに比べて設備は簡素だが、そのぶん料金は安い。

私は前回の旅行でベルリンに一泊した際に、このホテル・ペンジオンを初めて利用した。ホテルを予約せずにベルリンに行き、ベルリン中央駅のインフォメーションで「今晩泊まれるホテル」を探してもらったら、勧められたのが「Hotel Pension WAIZENEGGER」。そんな機会がなかったら、おそらくこの手のホテルに泊まることはなかったと思う。「Hotel Pension」の名を見たときも、日本のリゾート地にあるような一軒家のペンションを想像して、「ベルリンにペンションがあるの?」と驚いたくらいだ。ベルリンといっても広いし、郊外の不便な場所にあるのでは……と思ったが、場所はツォー駅のすぐ近く。それでいて、一泊40ユーロという破格の値段。……あやしい。もしかして、すごく治安が悪いのではとも思ったが、「インフォメーションのスタッフが勧めているんだし」と信頼し、そのホテル・ペンジオンを予約した。

地図を頼りにたどりつけば、そこは中庭のある、大きな古い洋館だった。その建物のワンフロアを、ホテル・ペンジオンとして旅行者に提供しているらしい。他の階はマンションとして使われているようで、中から住人が門を開けて出てこようとしていた。
こんなレトロな洋館に泊まれるなんて。予約したときの不安感はどこへやら、私はひと目で気に入ってしまった。部屋は狭かったけれど、値段と立地を考えたら仕方ない。それに室内は清潔で、シャワー室も新しかった。設備は簡素で、ポットもミニバーもないけれど、どうせホテルでは寝るだけなのでこれで充分。

そんな訳ですっかりホテル・ペンジオンが気に入った私は、今回のベルリン一泊旅行でも、そんな宿に泊まろうと思った。ネットのホテル予約サイトで探してみると、前回泊まった「WAIZENEGGER」は、私が泊まりたい日は満室。でも「WAIZENEGGER」からそんなに遠くない、クーダム通りから一本入った通りに、雰囲気の良さげなホテル・ペンジオンを見つけた。「Hotel Pension Columbus」。5階建ての白亜の洋館で、その堂々とした外観は「WAIZENEGGER」によく似てる。いや、もっと格調高いように見える。値段も1泊60ユーロとちょっと高めだが、そのぶん部屋は広そうだし、なにより立地がとても便利。よし、ここに決めた!

5年ぶりにベルリンの地に降り立ったのは、10月21日の午後2時すぎ。本来なら午前11時に着くはずだったのに、飛行機に乗り遅れるという大チョンボをやらかしたせいで、到着が遅れてしまった。(事の詳しい顛末は「ベルリン名物・巨大ピザ」を参照)

空港から、快速バスに乗ってツォー駅へ。ホテルの最寄り駅は、地下鉄のウーラント・シュトラーセ駅だが、ツォー駅からも歩ける距離だ。なのでスーツケースを引きずって、人でごったがえしているツォー駅周辺を通り抜け、ブランドショップやデパートが並ぶクーダム通りへ。用意した地図に従い、脇道に入ると、さっきまでの喧噪が嘘のように静かになった。瀟洒な白い邸宅が建ち並ぶその一角に、「Hotel Pension Columbus」があった。


古い洋館ホテルの注意点その1。「エレベーターがない」

重厚な扉を開けて中に入ると、そこはまるで貴族の館のよう。しかしエレベーターがない。ホテルのある4階まで、この重いスーツケースをかかえて階段を上れと? などと怒ってはいけない。そうした近代設備を期待しないのが、古い洋館に泊まる客のたしなみというもの。スーツケースをかかえて、息を切らしながら階段を上がる。普通のホテルなら、こういうのはスタッフが運んでくれるのに! などと不満を言ってはいけないのだ。(でも疲れた……)

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古い洋館ホテルの注意点その2。「カギが開けにくい」

ようやく4階にたどり着き、ブザーを鳴らすと、出てきたのは50代くらいの上品な男性。さっそくカギを三つ渡され、一つはホテルのカギ、一つは部屋のカギ……と説明された後、「カギの開け方」を教えてもらった。ドイツの家のドアは、単に一周回しただけでは開かないものが多く、旅行者には少々ハードルが高いのだ。ドイツでも新しいホテルだと、カード式のオートロックタイプなので、カギもすんなり開くのだが。

案内してもらった部屋は、予想以上の広さだった。スーツケースを置いてベッドに座ると、そのままごろんと横になりたくなった。しかし今、横になると二度と部屋から出たくなくなりそうなので我慢する。それくらい居心地がいい。「ホテルの部屋」というよりは、親しい友人宅の客室に招かれたような気分。アンティーク調の家具や調度品は、どれも、大切に使われてきたモノならではの「ツヤ」を感じさせる。
ホテルとして使われる前は、実際に人が住んでいたんだろうなあ。最初からホテルとして作られた部屋だと、こんなぬくもりは感じられない。
もっとゆっくりしていたかったが、空腹には勝てず。念願の巨大ピザを食べに行くため、いそいそと部屋を後にした。
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部屋の窓から見える、中庭の緑がまぶしい。


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タンスの中の棚には、ギデオンの聖書があった。
※ギデオンの聖書……国際ギデオン協会が、ホテル、病院、刑務所等に配布している聖書のこと。

このホテルを選んだ第一の理由は「立地の良さ」。ベルリンを代表するショッピング街・クーダム通りから一本入った通りにあって、買い物に便利だし、夜遅くなっても人通りがあるから安心だ。スーパーマーケット「カイザース」が、ホテルの近くにあることもチェックずみ。
さて念願の巨大ピザを食べ、ポツダム広場を観光した後、くたくたになった足で地下鉄に乗ってホテルに向かう。ウーラント・シュトラーセ駅で降り、駅からほど近いカイザースに行ってサラダとヨーグルト、お土産のお菓子などを購入。
ホテルの近くにはコーヒー&チョコレート専門店もあった。カフェも併設されているので、時間があればここでケーキを食べたいと思っていた。が、飛行機に乗り遅れたおかげでそんな時間もなし。店に入ったときには、すでにカフェは閉まっていた。
幸い店はまだ営業中だったので、コーヒーとチョコレートを買い、ホテルに帰った。

ホテルまでの階段を上がり、ドアのカギを開けようとしたが、すんなりと開いてくれない。さすがドイツのカギ、なかなか手強い。でも負けない! などと勇者気分でカギを回していたら、中からスタッフがドアを開けてくれた。そしてもう一回、カギの開け方をレクチャーしてくれる。覚えの悪い客ですみません……。

古い洋館ホテルの注意点その3。「バスタイムがスリル満点」

さて、晩ご飯も食べたし、後はシャワーを浴びて寝るだけ。この部屋はトイレは共同だけど、シャワーは室内に設置されている。これまでの経験から、「少々値段が張ろうが、シャワー付きの部屋にすべし」と考えていた。というのも、古い建物を使った雰囲気のあるホテルで、もっとも警戒すべきなのはシャワーだと思うからだ。
建物が古くなると、どうしても水回りが傷んでくる。排水がスムーズにいかなくて、水がなかなか排水溝から流れてくれなかったりするのだ。
以前、泊まったロンドンのホテルはシャワーが共同だったが、前に利用したお客の髪が、流されきれずにシャワーブースの床に残っていた。でも自室にシャワーがあれば、そういうことはないから安心だ。

古いホテルのシャワーは、蛇口も真鍮製で、アンティークな趣がある。だが見て楽しむのと、実際に使用するのとでは違う。その蛇口をひねっても、ジャーッと勢いよくお湯が出てくれないことも多い。チョロチョロ、チョロチョロとしか出ないので、寒い時期だと体が凍えてくる。もちろんバスタブなどというものはない。
お湯をひねったはずなのに、初めは冷水しか出てこないこともある。そんなときは裸で震えながら、水がお湯になるのを待ち続けるはめに。でもシャワー付きの部屋なら、ちゃんとお湯が出るまでバスタオルにくるまって、暖かい部屋で待機しておける。そういう意味でも、シャワー付きの部屋はいい。
が、冷水がお湯になったからといって、安心するのはまだ早い。そのお湯がいきなり熱湯になったりするから気を抜けない。「あちっ!」と思って蛇口をひねると、今度は冷水がふき出してきて、なかなかお湯に戻ってくれない。「ちゃんと温度調節しているのに、お湯の温度が一定しない」というのも、古いホテルのシャワーの難点。一日の疲れを癒すはずのバスタイムが、一日でもっとも緊張する時間になったりする。

そんな訳で、このホテルでも用心しながら蛇口をひねった。……よかった、ちゃんとお湯が出た。その出方も、チョロチョロ、じゃなくて普通に出てくる。でもやっぱり、お湯の温度が一定しない。蛇口をひねって湯温を調節しながら、シャワーを浴びる。そしてお湯を止めようとすると…………あれ、蛇口がひねれない。さっきまでちゃんと動いてたのに、今は固くて、びくともしない。もしかして、極限までひねりすぎた?
幸い、排水システムは正常なので、シャワーから出てくるお湯はどんどん排水溝から流れていってくれる。それでもガラス板で囲まれたシャワーブース内は湯気が充満し、その湯気がガラスの隙間から部屋にも漏れ出てきた。私はそれを見ながら、フロントに電話をかけていた。が、つながらない。どうやらホテルに常駐している訳ではなく、夜は自分の家に帰ってしまうらしい。

古い洋館ホテルの注意点その4。「フロントが24時間対応ではない」

こうなったら、他の宿泊客に助けを求めるしかない。私は部屋を出て、廊下で耳を澄ました。斜め向かいの部屋からテレビの音声が聞こえてきたので、ドアをノックして「Excuse me,please help me」と呼びかけてみる。するとテレビの音が止まり、しばらくしてドアが開いた。顔を見せたのは、大柄な若い白人女性。私が事情を説明すると、彼女はすぐに部屋までついてきてくれた。そして部屋を見たとたん、状況を理解したらしい。流れ続けるシャワーと、漏れだす湯気ですっかり暖かくなった部屋。彼女はシャワーを止めようと蛇口をひねったが、やはり固くて動かない。
二人で部屋を出て、廊下の向こうの管理人室のドアをノックする。が、返事はなし。受付の机にあるホテルの名刺を手に取り、そこに載っている電話番号にもかけてみた。が、呼び出し音が鳴り続けるばかり。

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ホテルの名刺

状況はいっこうに改善しないものの、「助けようとしてくれている」人が隣にいるというだけで、私はとても心強かった。大丈夫、きっとなんとかなる。
彼女は「自分の部屋から電話してみる」と言って、いったん自室に戻った。私は「もう一度」と思い、管理人室のドアをさっきより強くノックする。が、反応はなし。やっぱり力づくでシャワーを止めるしか……と思って廊下を引き返すと、さっきの彼女が部屋の前で私を手招きしていた。部屋に入ると、シャワーはぴたりと止まっていた。シャワーブースには、大柄な若い白人男性。彼が蛇口をひねって、お湯を止めてくれたのだ。
彼はジェスチャーで、「蛇口が固まっていたんだ」と説明した。やっぱり蛇口が古いからかなあ……と、原因を蛇口に責任転嫁する私。蛇口が古いからこそ、もっと慎重にひねらなければいけなかったのに。
二人は、別々の部屋に泊まっていたカップルらしい。笑顔で「Good night」と部屋に戻っていく二人に、私は何度も礼を言った。旅行一日目の夜に続いて、このベルリンでも、他の宿泊客に助けてもらった。女一人の旅行なので、何かあった時に困ることも多いけれど、逆に女一人だからこそ、周囲の人も助けてくれるのかもしれない。

天井の高い朝食ルーム

ホテル・ペンジオンにレストランはない。が、朝食ルームはある。翌朝、8時すぎにその部屋に行くと、昨夜助けてくれた彼女がすでに席について食事をしていた。
一般的に、ドイツのホテルの朝食は豪華だ。でもメニューはだいたい決まっているので、何日も旅行していると「ま、こんなもんか」と醒めてくる。何種類かのパンにチーズ、ハム、半熟卵。デザートはヨーグルト。このホテルでも基本はそのメニューだったが、旅行中でもっともおいしく、印象に残る朝食だった。大きな窓から朝陽が降り注ぐ、天井の高いクラシカルな朝食ルームというロケーションも、朝食を印象深いものにしたのだろう。そしてパン。他のホテルでは薄く切られたライ麦パンが数種類と、クロワッサンというのが多かった。が、このホテルでは俵形の白いパンがメイン。軽く表面を焼いているので、外パリッ、中はふわっふわ。おいしくって、二個も食べてしまった。
サイドテーブルにはシリアルがあり、各自、カップに盛って牛乳をかけていただく。このシリアルの種類も多く、5種類以上あった。日本では食べられないような珍しいものも多く、いろんな種類を少しずつカップに入れておいしく食べた。さらにおかわりまでした。(朝からどんだけ食べるねん…)
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ホテルの朝食が豪華だと、一日のエネルギーをたくわえられる上に、昼食を軽めにしても大丈夫なので財布にも優しい。朝食でお腹も心も満腹になるので、昼になってもそんなにお腹が空かないのだ。なので昼食はインビスなどでササッとすませて、そのぶんたっぷり観光できる。
このホテルの朝食は豪華な上に、パンを焼いてから皿に乗せて持ってきてくれたりと、細やかな心遣いがうれしかった。次にベルリンに来たときも、このホテルに泊まりたい。(そして蛇口はひねりすぎないようにしたい)
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ベルリン名物・巨大ピザ
5年前にも訪れた、ベルリンのイタリア料理店「12 Aposte(ツヴェルフ・アポステル)」。旅先で出会ったベルリン駐在の日本人に「あの店が美味しい」と教えてもらい、行ってみると、サッカーのサポーターたちで賑わっていた。その日は昼から、ドイツW杯の開幕戦が行われる日だったのだ。イタリア人経営のお店らしく、スタッフの一人がイタリア代表のユニフォームを着ていたっけ。その後、準決勝でドイツがイタリアに負けたときは、「あのお店はフーリガンに襲撃されなかっただろうか」とふと心配になったりしたものだった。(ユーロ2008のドイツ対トルコの際には、ドイツが勝ったにもかかわらず、トルコ料理店がドイツ人に襲撃されたそうだし)

そのときはパスタを頼み、噂通りのおいしさに満足して帰ったのだが、帰国後、実はあの店の名物は「超ビッグサイズのピザ」だと知り、リベンジを決意。「次に行ったら、ぜったいピザ頼むねん!」……さすが私、食べ物にかける執念はスゴイ。
5年ぶりのドイツ旅行となった今回、旅行日程の真ん中にベルリンへの一泊旅行をねじこんだのも、「巨大ピザが食べたい」という理由が大きい(それとバウハウス)。もちろん持ち帰り用のタッパー持参だ。これ一食で、昼も夜もまかなう気満々である。しかも平日11時半~16時までは、全てのピザが6.95ユーロで食べられるとか。これは嬉しい!(特にビンボ人には)

市内にはミッテ店とシャルロッテンブルク店の2店舗がある。ガイドブックで紹介されているのはたいてい、ペルガモン博物館に近いミッテ店だ。だが博物館に用がなければ、「Savignyplatz(サヴィニープラッツ)」駅すぐそばのシャルロッテンブルク店の方が行きやすいのではと思う。(ミッテ店は駅から遠い)
私は前回も、そして今回もシャルロッテンブルク店に行った。というか、シャルロッテンブルク店に歩いていけるホテルに泊まった。どんだけピザ食べたいんだって話ですね(笑)。
だがそんな執念を砕こうとするかのように、ベルリン行きには手間取った。10月21日の10時の便で、ケルン・ボン空港からベルリンへ。のはずだったが、朝起きて、予定通り電車に乗ったらほっとしたのか、ケルン・ボン空港駅を乗り過ごすという大チョンボをやらかした。はっと気づいた時には、すでに空港駅を通り過ぎた後。慌てて次の駅で降りて引き返したが、時すでに遅し。これ、乗り過ごしたのも間抜けだけど、そもそもぎりぎりの時間にホテルを出たのがまずかった。「飛行機の出発2時間前には空港に着くこと」という鉄則通り、もっと余裕を持って空港に着くようにしていたら、乗り過ごしても間に合ったかもしれないのに。
ようやく空港に着いたのが、出発時刻の15分前。もしかしたら間に合うかも!と走ったが、こういう時に限って、目当ての航空会社のカウンターが遠い。ようやくエアベルリンのカウンターに着いた時、すでにベルリン行きの便は飛び立っていた。
仕方なく、次の便を予約する。1万円の余計な出費だ。でも国内線だから1万ですんだものの、もし国際線だったら…と考えると恐ろしい。(国内線だから気がゆるんで乗り遅れた、という気もするけど)
次のベルリン行きの便は一時間半後。チェックインをすませてロビーで待っていたが、出発30分前になっても搭乗手続きが始まらない。ロビーの客がざわつきだした頃、「飛行機の出発が遅れます」のアナウンスが流れた。
ああ、今日のランチは巨大ピザのはずだったのに、ピザが……遠ざかっていく……。
気力が萎えかかっている私の周りで、他の客が次々に立ち上がり、ロビーから去っていく。どうやら、飛行機は1時間近く遅れるらしい。あのとき駅を乗り過ごさなければ、10時の便に乗れていて、今頃ベルリンに到着しているはずだったのに……と自分を責めても仕方ないので、気分転換に自販機でアイスを買って食べた。普段もそうだが、旅行中は特に、いつまでも落ち込んでいたらもったいない。きっちり反省したら、後は忘れる。こうして飛行機に乗り遅れるのも、旅の醍醐味の一つ!……と考えるのはポジティブシンキングすぎるけど、でもせっかく空港でぶらぶらする時間ができたんだから。この時間を楽しもうと思い、見学気分で空港内を歩き回った。私の世代では、ケルン・ボン空港といえば「エロイカより愛をこめて」。少佐もこんな風に、空港で苛々しながら次の便を待ったかもしれない。「任務に間に合わん!」とか独づきながら。そう、私にとって、ベルリンでピザを食べることはまさに任務……などとしょーもないことを考えていたら、搭乗手続きが始まった。よかった、思ったより早かった。そうしてようやく飛行機に乗り、ベルリンへと飛び立った。


ケルン・ボン空港の待合ロビー

テーゲル空港に着いたのは昼の2時過ぎ。そこからバスに乗って、ツォー駅に着いたのが2時半。予定より3時間も遅れてしまい、もうお腹が空きすぎてフラフラする。今なら巨大ピザも平らげられそう。
クーダム通り近くのホテルにチェックインして、サヴィニー広場まで歩く。広場を中心とした界隈は、賑やかなツォー駅やクーダム通りとは違う落ち着いた雰囲気で、人が歩く速度もゆったりしている。(クーダム通りは、みんな早足でシャカシャカ歩いている)
観光スポットや商業施設がある訳ではないので、観光客らしき人の姿も見かけない。地元民がひいきにする名店が多い印象で、「12 Aposte」もその一つ。
5年ぶりの訪問だったが、サヴィニープラッツ駅周辺はほとんど変わっていなかった。Sバーンの線路高架下にある雑貨屋さんもそのままだし、思わず「ただいま」と言いたくなるような懐かしさ。
「12 Aposte」も変わっていなかった。いや、前より繁盛店になってるかもしれない。もう午後3時、ランチタイムは過ぎているのに、店内はお客でいっぱいだった。入口で待っていると、品の良さそうなおじさまウェイターに、二人用の席に案内してもらう。メニューを開いて、頼むのはもちろんピザ。
店名が「12使徒」だけあって、ピザには全て使徒たちの名前がついている。ピザ・ペテロ、ピザ・マタイという風に。省かれがちなピザ・ユダもいた。ピザ・マグダレナもいる。マグダラのマリアは12使徒じゃないけど、女性使徒代表としてメニュー入りだろうか。どれにしようか迷ったけど、午後4時まではどのピザも6.95ユーロなんだから、一番ゴージャスなのを頼んじゃえ〜と、店名がついた「Pizza 12 Apostel」を注文。メニューには「トマト、モッツァレラ、エビ、新鮮な鮭、クリーム、ルッコラ」のトッピングと書いてあった。

10分ほどしてから、注文したピザが運ばれてきた。もうお腹が空きすぎて、ビザ一枚ぺろっと食べられそうと思っていた私だが、実物を見たとたん、

ムリ。半分もムリ。

想像を遥かに超えるその巨大さ。「座布団ピザ」とでも名付けたいほど。「お皿からはみ出そうなほど大きい」という表現は、ボリュームのある料理についての常套句だけど、本当にお皿からはみ出してる料理は初めて見たわ。



だいたい、料理を見た第一印象が「おいしそう〜」ではなく「どうしよう…」だったことからしておかしい。持ち帰り用タッパーを持参してるけど、そのタッパーにも入らないんじゃないだろうか。大食漢の多いドイツ人の間で、「巨大ピザ」と評判になるのも分かる。
とりあえず、時間もないので食べ始める(さっきまでの空腹感はどこかにすっ飛んでいた)。よかった、ちゃんとおいしかった。これで不味かったら泣けてくるし。焼きたてだから、生地がカリッとクリスピーで香ばしい。そして大ぶりのエビと鮭がごろごろ乗っていて、食べ応えありすぎ。メニューには「新鮮な鮭」とあったから生サーモンを予想していたが、乗っているのはどう見ても焼き鮭。ドイツでいう「新鮮」は、「生」って意味ではなかったらしい。
ピザは焼きたてがおいしいから、なるべく店で食べよう。そう思ってひたすらピザを頬張ったが、5分の2ほど食べてギブアップ。ふと隣の席を見ると、初老のドイツ人夫婦もピザを食べていた。ピザはまだ半分以上残っていたが、おじさんがピザを食べるスピードが明らかに遅い。恰幅のいいドイツ人男性でさえ、このピザを食べるのに難儀しているのだから、私が食べきれないのも無理はない。観念して、残りのピザをタッパーに詰めていった。が、量が多くてタッパーに入りきらない。もったいないけど、2切れほど残すことにした。ウェイターを呼び、チップ込みで多めに払う。用意してきたドイツ語会話ノートを指さし「8ユーロ、ビッテ」と言うと、そのたどたどしさが受けたらしく、ウェイターは隣席のドイツ人夫婦と「健気だね」と笑い合ってから、お金を受け取り去っていった。
私も席を立とうとすると、隣席のおじさんが「どこから来たの?」と話しかけてきた。「ヤーパン」と答えてから、三ヶ月前のドイツ女子W杯で日本が優勝したことを思いだし、「フラウフースバル、ヴェーエム、ナデシコ」と適当な単語を並べる。するとおじさんは「スーパー!」と笑顔を見せた。よかった、どうやら通じたみたい。「ナデシコ」のドイツでの浸透っぷりに感謝。
その後もおじさんと「トーキョー?」「ナイン、オーサカ」などと簡単な会話をした後、「ヴィーダァーゼーエン」と言って別れた。ドイツ語が達者だったら、もっと会話が弾んだだろうに……と、もどかしくなるのはこんな時だ。でもまあ、ピザはおいしかったし、任務を達成した充実感に満ち足りて店を出た。

その夜。文化フォーラムの絵画館とポツダム広場を見て回り、くたくたになってホテルに帰った。夕食がピザだけだと胃にもたれるので、スーパーでサラダとヨーグルトも買ってきた。食材の準備が整い、タッパーを開けてピザを食べる。お店ではカリッとしていた生地が、ふにゃふにゃ〜になっていた。どうやらタッパーの中でじっくり湿気をたくわえていたらしい。ちょっとしっとりしすぎで、もはやピザではない。食べきれない料理を持ち帰るのもいいけど、「ピザは焼きたてに限る」と再認識した、ベルリンでの巨大ピザ体験だった。

■関連ページ
「12 Aposte」公式サイト
http://www.12-apostel.de/en/

5年前の「12 Aposte」訪問記
http://still-crazy.cool.ne.jp/deutsch/brandenburger.html
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バウハウス・アーカイヴに行ってきた。
ドイツに、バウハウスを記念・研究する施設は三つある。バウハウス発祥の地・ワイマールにあるバウハウス博物館(Bauhaus-Museum)。ワイマールからの移転地・デッサウにあるバウハウス本校舎。そしてバウハウス終焉の地・ベルリンにあるバウハウス・アーカイヴ。
もっともメジャーなのは、やはりデッサウのバウハウス建築群だろう。本校舎とマイスターハウスは、ユネスコ世界遺産にも登録されており、「デッサウ=バウハウス」のイメージすらある。私も当初、ベルリンからちょっと足を伸ばして、デッサウに行くつもりでいた。ベルリンから充分、日帰りできる距離らしいし。だがサッカーの試合日程の関係で、ベルリンには一日しか滞在できないことになり、デッサウ行きは諦めた。代わりに、ベルリンのバウハウス・アーカイヴにはなんとしても行きたい。「一日しか滞在できないなら、ケルンからの往復の飛行機代がもったいないし、ベルリン行くのやめちゃえよ」という悪魔のささやきも聞こえたが、ドイツに行ったからにはバウハウス見るんだ!と半ば意地になってベルリン行きを強行した。

そこまでしてバウハウスが見たいということは、よっぽどバウハウス好きで、日頃から研究してるんだなと思われるかもしれない。が、まったくそんなことはなく、バウハウスに関しては初心者も初心者。関連書物も3冊ほどしか読んでいない。でも初心者だからこそ、「まずは現物を見てみたい」という思いが強いのだ。

さてバウハウス・アーカイヴへの行き方だが、調べてみると、電車・地下鉄の駅からは離れていることが分かった。路線バスに乗って、「Lutzowplatz」というバス亭で降りるのが一番近い。
10月21日の昼過ぎにベルリン到着。翌朝、ツォー駅のバスターミナルから100番バスに乗る。
100番の他に、187・M29番のバスも「Lutzowplatz」に停まるらしいが、頻繁にターミナルにやってくる100番バスに乗るのが一番手っ取り早い。ただ、観光スポットを回る100番バスは観光客でいつも混雑している。ツォー駅から乗った場合、「Lutzowplatz」のバス亭は4つ目。なので2階席に上がらず、1階の出口付近にいた方がスムーズに降りられる。
バスを降りると前方に大きな川があるので、橋を渡る。すると右手に「赤・青・黄」のノボリを発見。バウハウスを象徴する三原色だ。ここで一気に「バウハウスの世界に来た!」という感慨がわき上がる。

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反対側の道路から、アーカイヴを望む。

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バウハウスを象徴する三原色を使った、カラフルなエントランス

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エントランスを過ぎると、「Museum」の矢印に沿って「空中通路」とでもいうべき橋を渡る。ちなみに「Museum」はムゼウムと発音。この語感が好き。

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空中通路はけっこう長く、ムゼウムの入口までが遠い。建物を設計したのは、バウハウスの創始者ヴァルター・グロピウス。……だからか!この妙にもったいつけてる設計は(笑)。「これから出会うバウハウスアートへの期待を、この通路を歩きながら高めて下さい」という感じ?

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施設は幾つかの建物に分かれており、かなり大きい。なので近距離からその全貌をカメラに納めるのはムリ。一般客には公開していない建物もあるようだ。

入口に入って入場券を払うと、まずは荷物を地下のコインロッカーに入れるように指示される。ちょっと大きめのバッグ類は持ち込み禁止。ボストンはもちろん、肩掛けできるトートバッグも、「大きすぎるからロッカーに入れてね」とお願いされた。
受付で国籍を聞かれたので「ヤーパン」と言うと、日本語ガイダンスのヘッドフォンを貸してくれた。これはありがたい。
日本語の音声案内を聞きながら、展示品を見て回る。ちなみに館内は撮影禁止。(コンデジで写真を撮っていた女の子がいたが、スタッフに注意されていた)
バウハウスといえぱ、機能的でシンプルなデザイン。近世まで続いていた手作業のぬくもりを否定するような、合理的な工業製品といったイメージがある。だが展示されている作品はいずれも、手作業のぬくもりを感じさせた。どの作品も、作られてからまだ100年も経っていないからだろうか。なんだかとても身近に感じる。今、私たちが使っている製品デザインの「元」となっているから、というのもあるだろう。

バウハウスの代名詞ともいえるマルセル・ブロイヤーのパイプ椅子は、天井の高いフロアの壁に、宙を泳ぐようにして貼り付けられていた。「主役扱い」されているブロイヤーの椅子の影で、ブロイヤーより先にパイプ椅子をデザインしたものの、運が悪くて世に出なかったという人の椅子も展示されていた。やはり、世に出るには「運」も必要なのか。でもブロイヤーの椅子ほど有名になれなくても、こうしてアーカイヴに展示されているからまだ、幸せかも。
およそバウハウスらしからぬ、民芸調の木の椅子も印象的だった。万博の民族博物館に展示されているような椅子で、あの近代デザイン空間の中で明らかに異彩を放っていた。(というか浮いてた)

学生たちのスナップ写真も展示されていた。校内で写真展が行われた際、学生たちが互いの写真を撮り合ったらしい。約100年前の若者たちは、今の若者となんら変わらぬ生き生きとした表情で映っていた。ちょっと気取ったポーズが多いのが芸術系の学生ならではで、「みんな青春してるなあ」って感じ。今や伝説化されているバウハウスだが、そこで学んでいたのはごく普通の、芸術を志す若者たち。そのことがリアルに伝わってきて、バウハウスにぐんと親近感が沸いてきた。

時間があればもっとゆっくり見たかったが、昼過ぎの飛行機でケルンに戻らなくてはならない。帰り際、併設されているショップに寄った。バウハウスデザインのポスターや雑貨などが販売されていたが、懐に余裕のない私はポストカード一択。カードは種類豊富で、初めて見る写真(教授たちが並んで笑っているものなど。特にグロピウスが笑っている写真は珍しいかも)も多く、どれにしようか迷った挙げ句、選び抜いた8枚を購入。会計をしてくれたスタッフのお兄さんがフレンドリーだった。
ショップの隣にはバウハウス・カフェもあったが、時間がないので素通り。バウハウスデザインのポットでコーヒーが飲めたりするんだろうか? コーヒーも、バウハウスに関わったアーティストごとにメニューがあると楽しい。鋭角的で際立った酸味の「モホリ・ナギブレンド」とか。カンディンスキーブレンドは、バランスの取れた抽象的な味わいとか(どんな味やねん)。

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ムゼウムに併設されているショップ&カフェ。

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ショップで購入したポストカード(1枚1ユーロ)
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路線図作りから始まる、ベルリンへの旅
ベルリンは広い。Sバーン(近郊電車)やUバーン(地下鉄)が発達しているとはいえ、駅から目的地まで離れている場合も多い。5年前に訪れたときは、6月17日通りをひたすら歩いて、W杯のPV会場にたどり着いた。あの時は初ドイツで、「自分の足で歩いて体験したい」という意識が強く、またW杯のお祭りムードでテンションも高かったから、長い距離も歩けたんだと思う。
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でも今回はなるべく歩かずに、効率よくベルリンを回ろうと思っていた。幸い、ベルリンは路線バスが市内のいたるところを網羅している。もちろん5年前にも路線バスの存在は知っていた。でも土地勘のない自分がバスを乗りこなすのは難しいように感じ、一度も利用しなかった。なんせ私は、自他共に認める方向音痴。バスに乗ったはいいものの、目的地とは全く違う方向に行ってしまったら? これが電車や地下鉄なら、「やべっ、乗り間違えた」と思ったら、路線図を見て、また別の電車に乗り換えればいい。でもバスの場合は、目で見える「線路」がなく、反対方向のバス停を探さなきゃならない。そして、私がバスを敬遠していた最大の理由――どのガイドブックにも、ベルリンの電車や地下鉄の路線図は載っていても、バス路線図は載っていないのだ。
そういう訳で、5年前はバスに乗るのを諦めた。でも二度目のベルリン訪問となる今回は、あの2階建てバスを乗りこなしたい。ネットをくまなく探せば、バス路線図だってどこかにあるはずだ。そう思ってドイツ版グーグルなどを使って検索したが、ない。BVG(ベルリン交通連盟)のサイトにもない。
土地勘のない旅行者が公共交通機関を利用するには、路線図が必須である。なのにその路線図がないということは、「旅行者はバスに乗るな。タクシーに乗れ」ということ?――とふて腐れても仕方ない。まあ、一枚の地図には収まらないほど路線が多く、細かく入り組んでいるということだろう。

そういう訳で困っていたとき、ネットで「ベルリンのバス路線図を切り貼りして、自作した」というブログ記事を発見。真似して、自分も作ってみた。
このBVGのページに、電車・地下鉄・バスの路線が全て載っている。100番以上の数字がついた紫色の路線がバス。ベルリン全体を一度には表示できず、
狭い範囲しか表示できない。でも行きたい場所は限られているから、その周辺のバス路線だけ把握できればいい。以下は、Macで作成した方法。
目的地周辺の地図を拡大し、スクリーンショットを撮る。それを何回か繰り返した後、保存したスクリーンショットをフォトショップで貼り合わせて、一枚の路線図にした。正直言って、面倒くさい作業である。ベルリン滞在はたった一日なのに、こんな作業は割に合わないかもしれない。でも作りながら、次第に街の仕組みが把握できるようになってきて、楽しくなってきた。この道をまっすぐ行くとこの広場に出るんだな、とか。5年前には「ウンター・デン・リンデン」だった駅が、今は「ブランデンブルク門」駅へと名称が変わっていたことも、このとき気づいた。街は変化しているんだ……と感じたとき、すでにベルリンへの旅は始まっていたんだと思う。日常から非日常へ。このとき、私の心はすでにベルリンに飛んでいた。

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フォトショップで画像を合成して作った路線図

そうして作ったバス路線図。実際の旅行でも大活躍で、「作ってよかった」と実感した。ほとんどのバスが起点としているツォー駅近くにホテルを取ったのも、正解だった。観光名所をくまなく回る100番と200番のバスは、10分に1本くらいの割合でツォー駅の発着所にやってくる。バスはほとんどが2階建て。バスに乗り込むと、旅行客はこぞって2階席へと駆け上がる。確かに2階は眺めがいい。でも100番と200番のバスは常に満員で、2階と1階をつなぐ階段も人で埋まっている場合が多い。なので、あんまり人が降りない場所で降りる場合は、2階から降りるのにちょっと手間取る。乗ってすぐにバスを降りる場合も、1階に乗っている方がいいかもしれない。

地元民が利用している路線バスを乗りこなせるようになると、ちょこっとだけ「旅行者レベル」が上がった気になる。次にベルリンに行くときも、自作したバス路線図を持って行こう。それまで、路線変更しないでくれたら有り難いけど……無理かな−。

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200番バス・2階席の車窓から見た風景

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ツォー駅バスターミナル前のビルに、バイヤー製薬のロゴを発見。屋上でくるくると回っていた。
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インゼル・ホンブロイヒ美術館〈4〉
ひととおり展示棟を見てまわると、お昼過ぎになっていた。朝10時の開門と共に鑑賞を始めると、だいたいこの時間になるのだろう。それを見越したように、最後の棟はセルフサービスのカフェテリアになっていた。料金はチケット代に含まれているので、好きなだけ紙皿に料理を盛りつけることができる。メニューはパン、バター、ジャム、ゆで卵、ジャガイモのソテーなど。サラダがないのが残念。あ、蒸したジャガイモがあったから、それがサラダか(ドイツ人にとっての)。
このジャガイモがびっくりするほどおいしかった。ほくほくして甘く、サツマイモとジャガイモの中間のような味。色もジャガイモっぽくない栗色で、北海道の「インカのめざめ」に似ている。
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おいしすぎてお代わりしてしまったジャガイモ(奧)

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カフェテリアはあっという間に満員に。美術系の学生が多く、リザーブ席もあった。

最後に食べた料理がおいしいと、美術館全体の印象もぐんと良くなる。満ち足りた気持ちでカフェテリアを出た。もっとゆっくりしたかったけど、帰りのパスの時間が迫っている。
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窓からの風景をスケッチしている学生たち。

デュッセルドルフに戻ってから、州立美術館「K20アートコレクション」を訪れた。そこで改めて、インゼル・ホンブロイヒ美術館の特殊さを知った。K20も魅力的な美術館だが、どうしても作品の横のアーティスト名を確認してしまう。ピカソ、ウォーホール、クレー…。そうした有名アーティスト以外の作品は、それほど じっくり見ていない自分に気づいた。アーティストの知名度に引きずられてしまい、作品そのものと対峙できていないのだ。

もっと真剣に作品と向き合おう。そう思ったが、この美術館にも長居はできなかった。今夜はレヴァークーゼンでサッカーを見る予定がある。一日のうちに、予定をぎっしり詰め込みすぎだ。せめて美術館は一日一つにした方がいい。だがインゼル・ホンブロイヒとK20、立て続けに二つの美術館を訪れたことで、「芸術鑑賞の本来のあり方」のようなものが自分の中に芽生えたことは、収穫だった。
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入口からして近代的なK20アートコレクション。インゼル・ホンブロイヒとは対照的だ。
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K20に行く前に、「カフェ・ハイネマン」でコーヒータイム。見た目よりずっと軽い口当たりのシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテが絶品。

■インゼル・ホンブロイヒ美術館 Museum Insel Hombroich
http://www.inselhombroich.de/
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インゼル・ホンブロイヒ美術館〈3〉
コレクションは体系的に収集されたものではなく、個人的な趣向で(つまり好き勝手に)収集されたようだ。解説がないので定かではないが、遺跡から発掘された古代土器の展示コーナーもあった。レンブラントの版画がまとめて展示されている棟もあり、レンブラント好きの私には嬉しかった。ここでも作品の横にタイトルカードはないのだが、作品内のサインでレンブラントだと分かるのだ。
でもここでふと、「この版画にサインがなかったら、こんなにじっくり鑑賞するだろうか?」という疑問が沸いた。この日はここまでずっとアーティスト名に邪魔されず、ダイレクトに作品とだけ向き合ってきたからだろう。でも作品がレンブラントだと分かると、「レンブラントだから」という理由で、それまで見てきた作品よりずっと愛着を持って鑑賞している自分がいた。

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壁一面をガラス張りにした、テラスルームのような展示棟。

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展示されているのは古代アジアの石像。木々の種類や植え方も、どことなくアジアっぽい。石像ごしに壁一面の緑を鑑賞していると、石像が生まれた時代に、ふとタイムスリップするような感覚を覚える。

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ベリッと皮がえぐられた木。これも作品だろうかとしばし立ち止まって鑑賞する。

■アーティストのアトリエ
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アーティストのアトリエもあり、野外にたくさんの作品が並んでいた。

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キリストの十字架をテーマにした作品。

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イバラの冠からしたたり落ちる赤い血が、ペンキで表現されている。

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これも作品と思いきや、実際に使われている小鳥の巣箱だそう。

インゼル・ホンブロイヒ美術館〈4〉に続く
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インゼル・ホンブロイヒ美術館〈2〉
扉を開けて次の部屋に進む。時おり、室内が急に暗くなったり、また明るくなったりする。天井には照明がなく、ガラス越しに射し込む自然採光をかしている。なので天候の変化によって作品の印象も様々に変わる。監視員もいないので写真撮り放題だが、作品を触って傷つける人はいないのだろうかとちょっと心配になる。
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天井からし込む光が、作品を刻一刻と構築していく。

作品にはタイトルカードもキャプションもないが、様々な年代の作品が混ざり合って展示されていることは分かる。アジアの古代石像の背景に、パステル調の現代絵画が配置されている部屋は、ずっとそこにいたいくらい心地よかった。時空間が交差した部屋には、不思議な時間が流れていた。
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扉を開けて移動すると、さっきも見た部屋だった。普通の美術館のような案内板がないから、訪問者は芸術作品だけを頼りに棟内を見て回ることになる。訪問者をわざと混乱させるこの空間構造、まさにラビリンス。
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ラビリンス内に設けられた、重い鉄の扉。

展示棟と展示棟を結ぶ道にも、道案内の標識は一切無い。地図がなければ迷ってしまいそうだ。今日は季節と天気がいいせいか、私の他にも人がわりといて、彼らの後をついていけるから助かっているけど。
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展示棟と展示棟を結ぶ砂利道

森の中に点在するいくつか展示棟を見ているうちに、ようやく気づいた。棟の周りには、棟を隠すために意図的に高い木々が植えられている。訪問者はすぐ近くまで来て、やっとその棟を見つけることができる。「芸術は発見するもの」。そんな意図がこめられている気がした。

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木々に隠されている芸術に、ゆっくりと近づいていく。
自然に溶け込むシックな色のレンガを使っているのも、カムフラージュのためだろうか。

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展示棟と同じ高さの生け垣が、棟を隠すように、その周りを囲いこんでいる。

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敷地内の公衆トイレ。まるで廃屋のようだが、中はきれいで清潔。

インゼル・ホンブロイヒ美術館〈3〉に続く
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インゼル・ホンブロイヒ美術館〈1〉
世界で他に類を見ない、自然と融合した美術館。こういう場所は、訪れた季節や、その日の天候によってがらりと印象が変わる。私が行ったのは10月中旬。空は秋晴れ。色づきはじめた紅葉が日差しを浴びて輝いていた。
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気をつけていないと見過ごしそうな、シンプルな入口の標識

チケット売場を出て少し歩くと、両側に小さな池が現れた。きっとつがいだろう、丸々としたキウイのような鳥が二羽。人慣れしていて、エサをもらおうと寄ってきた。でも何も持っていないので、写真だけ撮って先へ進む。ごめんね。


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学生が二人、風景をスケッチしていた。

ホンブロイヒは地名。じゃあインゼルってなんだろと調べたら、ドイツ語で「Insel=島または中州。海や川に囲まれて孤立した土地」という意味だそう だ。言われるとおり、さっそく川が流れる場所に出た。鬱蒼とした木々を抜けると、いきなり視界が開けた。広やかな草原に、レンガ造りの建物がぽつんと 建っている。余計な装飾は何もなく、立方体が組み合わされている。ただっ広い場所に立方体が突き刺さっているさまは、まるで映画「2001年宇宙の旅」に 出てくるモノリスのよう。

建物の中に入ると、白一色だった。映画の最後に出てくる「白い部屋」を思わせて、ますます「2001年宇宙の旅」っぽい。
そんな無機質な空間で、先生と子どもたちが何かの授業をしていた。部屋の隅に托鉢を置いて鳴らしているところを見ると、どうやら音響効果の授業らしい。子どもたちは可愛いけど、できればこの空間は一人で味わいたかったな。室内には何も展示されておらず、この空間そのものを味わう仕組みのようだから。
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四方全てにガラス製の扉がついており、四方から光が中に差し込んでくる。ガラスごしに見える景色は、四角く区切られたアートのよう。室内からの眺めを計算して設置された扉だと分かる。

モノリスを出て、チケット売場でもらった地図を頼りに歩く。次の展示棟は、この美術館で格となる建物らしい。名付けて「ラビリンス」。だがなかなかたどりつけない。これ、今日は天気がいいから森林浴気分で歩けるけど、寒くなると辛いだろうな。そんなことを思いながら小さな橋を渡ると、木々の隙間から赤い壁が見えてきた。
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さっきと同じレンガ壁の展示棟。だがさっきのような草原ではなく、高い木々に囲まれているせいか、どことなく陰鬱な雰囲気がある。
だが中に入ると、そんな陰鬱さは一瞬にして吹っ飛ぶ。ガラス張りの天井から、柔らかな光が白い室内に差し込んでいる。さっきのモノリスもそうだが、レンガ造りの外壁と、室内の白一色のコントラストには驚かされる。


巨大なざぶとんのような、厚みのあるキャンバスが壁にかかっている。一つの壁に一つのキャンバス。とても贅沢な展示方法だ。
キャンバスの横にはアーティスト名やタイトルなど、この作品を説明するものは一切ない。いつの時代に描かれたものかさえも分からない。ただ壁に作品がかかっているのみ。余計なことを考えず、ただこの作品と向き合えばいいんだ。そう突きつけられている気がした。

インゼル・ホンブロイヒ美術館〈2〉に続く
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