何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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主役を立たせる「犠牲のシステム」は必要か。
今、連載しているジャック・チー対ブラックホール戦で、ジャック・チーを応援している読者って、日本中でいったい何人いるんだろう。たぶん全体の1割にも満たないかもしれない。それくらい、闘いの描写が「ブラックホールを応援したくなる」ように描かれている。ジャック・チーは強いけれども根性が性悪で、連戦でボロボロのブラックホールを、猫が獲物をもてあそぶように痛めつける。こういう風に、主人公側のキャラ(この場合はブラックホール)を魅力的に立たせるために、敵を徹底して「嫌なヤツ」に描くところが、私がキン肉マンで唯一「なんだかなあ」と思う点だったりする。王位争奪編でも、初登場の頃は大物感があったフェニックスが、準決勝ではアタルを立たせるために、とたんに卑怯で小物感たっぷりのキャラに変貌してしまったのには驚いた。と同時にげんなりして、それ以降読むのをやめてしまった経験がある。

敵も主役も両方とも魅力的で、主役を応援している読者とほぼ同じくらい、敵を応援している読者もいる。そういう闘いが読みたいんだけど、贅沢なんだろうなあ。今のような「ね? 誰でもブラックホールを応援したくなっちゃうでしょ?」というのが見え見えの描写だと私はかえってしらけてしまい、むしろジャック・チーの方を応援したくなってしまう。つまりひねくれてるんですね(笑)。
でもそういうのをナシにしても、今の闘いが始まる前から、ジャック・チーはなんだか惹かれる超人だった。金属的なイロモノ超人ってことで、スプリングマンと共通する魅力がある。デザインも、それぞれのパーツがちゃんと実用的で、その実用性を追求した結果、ああいうデザインになったという説得力がある。つまり機能美。こんなに機能美あふれる超人ってキン肉マンでも珍しいんじゃないだろうか。それだけに、ブラックホールを立たせるための犠牲のような「嫌なヤツ」設定が惜しい。あーでも、そうやって「いかにも悪役らしい悪役」にすることで、作者はジャック・チーの魅力を引き立たせようとしているのかもしれない。私もあんまり「犠牲」とかひねくれた読み方をしないで、もっと純粋に漫画を楽しんだ方がいいのかも。
願わくば、ペンタゴン乱入でジャック・チーが負けるのは仕方ないとしても、2対1の闘いを正当化するために、実はジャック・チーも「二人の超人が合体していた」みたいなオチはやめてほしい。そういう、とってつけたような卑怯なキャラ設定はフェニックスだけで充分。最後まで完璧超人らしく、正々堂々と闘ってほしい。

そしてまだ実現すると決まった訳ではないけれど、たぶん次回から登場するであろうペンタゴン。そして四次元殺法コンビ。私もこのコンビは好きだけど、今のような華々しい主役扱いにはどうも「コレジャナイ」感が……。夢の超人タッグ編のような役割だったからこそ、あのコンビが今のようなカルト人気を博したのではと思えるわけで。まあでも、あのコンビのスピンオフと思って、気楽に楽しめばいいのでしょう。あんまり余計なことを考えながら読むと、この漫画本来の楽しさを見失ってしまうだろうから。
キン肉マンの「ブラックホールは連戦なんだから、卑怯なのは完璧超人のほう」というむちゃくちゃな物言いも、最初に読んだときは呆れたけれど、今では「まあ、キン肉マンだし(笑)」と気にならなくなりました。あまりにも「突っ込み待ち」の発言すぎて、かえって清々しい。清々しいといえば、スプリングマンの「何をやっても最終的に勝てばいい」も、いかにも悪魔らしくて清々しい。でもあれは悪魔超人が言うからカッコいいのであって、正義超人のキン肉マンたちが擁護するのは余計というか、あんたは引っ込んでてって感じ。(いや、だからこの漫画の主役はキン肉マンだっての)

それにしても「素晴らしいぞブラックホール!」という激励が聞こえたときは、てっきりバッファローマンかと思ったのに。ページをめくるとスプリングマンだったのは、まさに嬉しい驚きでした。本当はリーダーのバッファローマンが真っ先に激励するのが自然なんだろうけど、あえてそうさせなかったのは、やっぱりスプリングマンの方が「悪魔超人ひとすじ」だからかな。なんかあんまり激励とかして「熱いキャラ」になられると、スプリングマン本来の軽妙な魅力が薄れるような気がしないでもないけれど(笑)。でもそうやっていつまでも昔のイメージにしがみつかないで、今の新しいスプリングマンの魅力を楽しめってことですね。実際、次の週が待ち遠しくて、深夜0時に更新されると同時に読んでしまうくらい楽しんでるし。もし、スプリングマンが死んでもう出てこなくなったとしても、たぶん連載は読み続けるでしょう。……こうやって感想を書くかどうかはともかくとして。

以上、「キン肉マン 第45話 闘いに美学は要らない!? の巻」の感想でした。
※毎話更新にあらず。書きたいネタがあった話のときだけ感想を書いています。
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