何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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レヴァークーゼンに泊まる。〈一泊目〉
日本の学校指定の地図にも載っていない小さな街、レヴァークーゼン。もしサッカークラブがなければ、製薬関係以外の日本人には知られないままだったのではないだろうか。いや今でも、レヴァークーゼンといえば「バイエルの本社がある街」という認識が一般的で、ブンデスリーガのクラブがある街だとはあんまり知られていないのでは。「サッカーファンなら知ってるはず」と思いたいけど、日本代表入りするような有名選手が移籍してスタメンを奪う活躍でもしない限り、サッカーファンの間での知名度も低いままなように思う。
だが9年前は違った。サッカーファン、それも海外サッカーファンの間に「レヴァークーゼン」の名が旋風のように知れ渡った。チャンピオンズリーグで、リバプールやマンチェスター・ユナイテッドといったビッグクラブを次々になぎ倒しての決勝進出。私が「レヴァークーゼン」の名を知ったのもこの時だ。恥ずかしながら初めはクラブ名を聞いても、ドイツクラブとは分からなかった。レヴァークーゼンがドイツの街の名前だと知らなかったからだ。
それまでドイツといえばベルリンやミュンヘン、ハンブルグなどの大都市の名前しか知らなかった私が、初めて知ったマイナー都市(レヴァークーゼン住民の方すみません)。それがレヴァークーゼンだった。
たぶんその時から、漠然と「いつか訪れてみたい」と思い続けてきたのだと思う。その願いがかなったのが、あのチャンピオンズリーグ決勝進出から9年後の2011年。バラックが9年ぶりにレヴァークーゼンに復帰し、さらに久しぶりにチャンピオンズリーグの出場権も獲得したことが、レヴァークーゼンへの旅のきっかけだった。

旅の計画はこうだ。10月19日にレヴァークーゼンの本拠地・バイアレナでチャンピオンズリーグの「レヴァークーゼン対ヴァレンシア」を観戦。そして23日に、再びバイアレナでブンデスリーガの「レヴァークーゼン対シャルケ」を観戦。ヴァレンシア戦は夜の試合なので、試合後ホテルに帰る頃には深夜になる。そこで安全を考えて、ケルン中央駅のすぐ前のホテルに宿を取った。
だがせっかくレヴァークーゼンに来たのだから、駅からスタジアムを往復するだけじゃなく、レヴァークーゼンの街を歩いてみたい。そう考えて、10月22日、23日はレヴァークーゼン市のホテルに二連泊することにした。予約したホテルは、レヴァークーゼン・ミッテ駅から徒歩10分くらいの場所にある「ベストウェスタン・レヴァークーゼン」。

空が広いまち

ドイツ行きの飛行機が大幅に遅れたり、ドイツに着いてからもベルリン行きの飛行機に乗り遅れたりと細かいトラブルはあったものの、おおむね旅行は楽しく過ぎていった。なんといってもドイツ到着の翌日に、チャンピオンズリーグでレヴァークーゼンの勝ち試合を見れたのが大きい。それもえらくドラマチックな。前半あれだけボロボロだったチームが、後半まるで別チームのようになって逆転勝ちするなんて、まるで映画を見ているよう。(チャンピオンズリーグ観戦記はこちら
ベルリン一泊旅行も、行きの飛行機に乗り遅れたと思ったら、ケルンに帰る飛行機がまた遅れ(今度は飛行機の出発が遅れた)るなどトラブル続きだったものの、行きたかったところにはだいたい行けたし、満足した気持ちでケルンに戻ったのは22日の夕方だった。

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夕暮れを待つケルン中央駅

レヴァークーゼン・ミッテ駅は、ケルン中央駅からSバーンに乗って6駅目。観光客が多く、深夜になってもにぎやかなケルン中央駅と違い、レヴァークーゼン・ミッテ駅は試合のある日以外は降りる人も少ない小さな駅だ。だからこそ、暗くならないうちにホテルに着きたかった。目指すホテルは駅から10分と少し歩くが、さすが「バイエル社のお膝元だから街が豊か」と言われているレヴァークーゼン。どの道もきれいに舗装されているので、重いスーツケースを転がしながら歩くのもスムーズだ。だがその分、観光客がヨーロッパに夢見る「中世の時代からあるような、石畳の古い道」のようなものは駅周辺にはなく、ちょっと味気ないかもしれない。

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レヴァークーゼン・ミッテ駅



レヴァークーゼン・ミッテ駅の駅前


ほどなくホテルについて、フロントでチェックインをすませる。フロント係はぽっちゃりした可愛らしい黒髪の女性。日本からプリントアウトしてきた用紙を渡すと、彼女はそこに書かれた私のデータを見て「ヤーパン?」と目を輝かせた。「Ja」と答えると、彼女は嬉しそうに「私は昔、日本で学んでいた」と話してくれた。その証拠に、別れ際にカタコトの日本語で「アリガト」と言ってくれたので、私も「アリガト」と言って別れた。

フロントでもらったキーを使って部屋に入る。一瞬、部屋を間違えたかと思った。シングルルームを予約したはずなのに、ベッドが二つあり、広々としている。
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ベルリンで泊まったホテルと同じく、このホテルの部屋にもギデオンの聖書があった。ベルリンのホテルでは洋服ダンスの中の棚に、隠すようにして置かれていたが、このホテルではベッドサイドテーブルの棚に置かれていた。なのですぐに「あ、ギデオンの聖書だ」と気づいた。それだけで、なんだか心がほっとするのだから不思議。

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窓からは、夕焼けに染まるレヴァークーゼンの街が見渡せた。遠くの方に幾つかの煙突が連なり、煙を吐き出している。あれがバイエルの工場群か。想像していたよりも煙突の数が少ない。「工場の町」というから、もっと煙突が立ち並ぶ、工業化した町だと思っていたけど、窓から見渡した限りでは、緑豊かな、閑静な住宅街というイメージ。駅前に天をつくような大聖堂がそびえるケルンと違い、高い建物がほとんどなく、こじんまりした一軒家が並んでいる。なのでケルンよりも空が広く、大きく見えた。

茜色から群青色へと、刻々と色が変わっていくレヴァークーゼンの空に見とれていたら、あっという間に空が暗くなった。と同時に、お腹が空いていることに気づく。晩ご飯はホテルに着いてから、近くのスーパーに買い出しに行こうと思っていた。駅の近くには「ガレリア」というショッピングモールがあり、スーパーマーケット、カフェ、映画館、各種ショップ、ドラッグストアなどが入っている。窓からはそのショッピングモールがすぐ近くに見えるのだが、実際に歩いて行くのはちょっと不便。距離はたいしたことないのだが、途中の道が公園を横切っていくため、周りに店や家がないばかりか街灯もなく、真っ暗だからだ。そんな場所だから、当然人通りもない。
「公園に囲まれたホテル」というのは日中はいい雰囲気だけど、日が暮れるととたんに暗く寂しげな雰囲気になる。それは分かっていたのだから、賑やかなケルンで夕食を調達すればよかった……とちょっぴり後悔したけれど、でもできれば「レヴァークーゼンのスーパーで買いたい」というこだわりがあったのだ。このこだわり、レヴァークーゼンに思い入れのある方ならきっと分かっていただけると思う。

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ホテルからショッピングモールに行くには、このように広大な公園を横切らなくてはならない。これは翌朝に撮った写真なのでまだ明るいが、夜だとほんとまっくら。

いくらヨーロッパでは比較的治安の良いドイツとはいえ、夜、真っ暗で人気(ひとけ)がない場所の一人歩きはちょっとためらう。自意識過剰かもしれないが、女ひとりの海外旅行は「ちょっと自意識過剰」な方が安全だと思っている。
これが日本のホテルなら、ホテル内にコンビニがあることもあるが、ドイツのホテルでそれは期待できない。それでも一応「もしかしすると」と思ってフロントに降りて聞いてみたが、答えは「Nein」。そりゃそうだよね。ホテル内に食糧を売っている店があったら、ホテルのレストランで食べてくれる人が減りそうだし。
そういう訳で少し躊躇したけれど、空腹には勝てないので、ホテルを出てショッピングモールに向かった。周囲は真っ暗で、しかも寒い。なので風景を楽しむ余裕もなく、早足だったと思う。そしてショッピングモール内のスーパー「REWE」で、フォカッチャとヨーグルト、サラダ、ミネラルウォーターなどを購入。このREWE、どこかで見たロゴだと思ったら、かつてレヴァークーゼンのユニフォームの胸スポンサーだったところだった。地元のスーパーを胸スポンサーにしていたなんて、いかにも「地元密着」クラブのようでちょっとほっこりする。
帰り道も早足すぎて、道路を横切る際にあやうく車にひかれそうになったけど、無事ホテルに到着。

部屋でテレビを見ながら、買ってきたフォカッチャを食べる。フォカッチャって、これまでどの店で食べてもそんなにまずかった記憶がないんだけど、このフォカッチャはびっくりするくらいまずかった。必要以上に酸味が強くてパサパサしている。お腹が空いていたはずなのに、半分も食べられずに捨ててしまった。食い意地の張ったこの私が! どんだけまずかったか想像いただけると思う。というか、どんなに下手でもレシピ通りに作ったらそれなりにおいしくできそうなフォカッチャを、どうやったらこんなにまずくできるのか不思議だ(ポロクソ……)。
これまでホテルの朝食などで食べた経験から「ドイツのパンはおいしい」と思っていたけど、どうやらそれは、パン作りのマイスターがいる「パン屋さん」で作られたパンに限った話らしい。スーパーで売られているパン(工場で大量生産されるパン?)はあんまりおいしくない……というか、日本人向けの味ではない。スーパーで売られているパンも普通においしい日本の便利さを再認識した。

そういう訳で今夜の主食となるはずだったパンは「ハズレ」だったけど、代わりに、ケルン行きの飛行機「エア・ベルリン」の機内でもらったクッキーをおいしくいただく。その他にもベルリンで買ったチョコレートなどをつまんでいたら、けっこう満腹になった。夕食がお菓子というのはなんとも寂しい気がするけど、今回の旅の目的はグルメじゃないし、明日の夜はビアレストランでドイツ料理を食べる予定なので今夜はこれで良し。旅先での食事はメリハリが肝心なのだ。毎晩レストランでおいしいものを食べていると飽きるし、胸焼けしてくる。今日が粗食だったら次の日はちょっとリッチにするなどの「バランス」が大事なのだ。(とかなんとか理屈をこねてみるが、ようは毎晩レストランで食事できるほど懐に余裕がないだけだったりする)

夕食の後はお風呂。私がこのホテルを選んだ理由の一つに「浴槽付き」というのがあったが、その理由で選んで正解だった。旅の終盤、自分では意識していなくても実はけっこう疲れていた体に、湯船がなんと気持ち良かったことか。確かに、部屋にシャワーだけでなく浴槽もついているホテルはちょっと値段が張る。なので旅の中盤と終盤にだけ「浴槽付き」のホテルに泊まるのが、疲れを取ってリフレッシュする意味でも効率的でいいと思う。まあ夏場なら、旅行中ずっと「シャワーのみ」でも問題はないけれど。でも秋冬の旅行では、せめて一晩くらいは湯船にゆっくりつかりたい。特にヨーロッパの冬は冷え込むし。

それにしても、駅近くのホテルとは思えないほど静かだ。今さらながら、レヴァークーゼンは郊外の閑静な住宅街なんだと実感する。もちろん後は眠るだけなので、ホテル周辺が静かなことに越したことはないのだけれど。
こうして、「レヴァークーゼンに泊まる・一泊目」は静かに過ぎていったのだった。〈続く


以下「続きを読む」に拍手への返信です。
12.19
西さん

わっ、あんまり需要がないと思っていた(笑)キン肉マンの記事にコメントありがとうございます!
ほんと、ブラックホールが活躍するとは私も予想外でした。おっしゃるように、ペンタゴンもろともマッスルドッキングを食らってKOされてるシーンの印象が強すぎて。
そのブラックホールが完璧超人に2連勝。さらにペンタゴンが一方的に完璧超人をやっつけるとか、旧作ファンには嬉しい展開なんだろうけれど、ちょっと旧作ファンへのサービスが過剰すぎて、なんだか二次創作を読んでる気分^^;
四次元殺方コンビって、能力的にはチートなのに、あっさり負けるそのギャップが魅力だと私は思っているので、今の展開はちょっと複雑かも。時代ととともに、漫画のキャラクターも変化していくってことでしょうか。 
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