何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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神様がくれた時間「第二章・ファン」(その4)
あれは、ファンと再び暮らし始めてから4年くらい経った頃の、冬のことだった。毎年、冬になるとケージの床に毛布を敷いていたのだが、何を思ったのかその冬は、引っ張ればすぐ毛が抜ける毛布を敷いた。これは危険だった。なぜなら雌うさぎには、実際に妊娠していなくても、出産に備え、子うさぎのために寝床をつくろうとする習性があるからだ。だから毛の抜けやすい敷物を敷いたりすれば、その毛を抜いて寝床を作ろうとして、その際に毛がのどにつまることもある。
だが私はそれに思い当たらず、あったかくしようとして、ケージに毛の抜けやすい毛布を敷いた。すると何日か後の夜、ファンが突然食欲をなくした。好物のにんじんを口元に持っていっても食べない。これはただごとではない。
うさぎは常に何かを胃に入れていないと、即、命が危険にさらされる動物だ。なのでこんなときはすぐ病院に連れて行かなければならないのだが、あいにく夜遅くて、かかりつけの病院は閉まっていた。明日の朝一番に病院に連れて行こう。そう思ってその夜は布団に入った。

私はファンのケージを自分の部屋に置いていた。ふと深夜、目をさましてケージを見ると、ファンがしきりに何かを口から吐き出そうとしていた。すぐにベッドから出てファンの口の中をのぞくと、のどに何やら黒いものがつまっている。それをつかんで引っ張りだすと、なんと10センチ弱ぐらいの細長い「織物」が出てきた。黒や白の毛が絡み合ってできたその「織物」は、ケージの床に敷いてある毛布と同じ色、素材だった。つまりファンが飲み込んだ毛が胃の中でくっついて、こんな織物になっていたのだ。
こんな大きな織物がのどにつまっていたのか。そりゃ、えさが食べられないわけだ。驚きながら、さっきは食べなかったにんじんを口元に持っていくと、今度はファンはコリコリとそれを食べ始めた。続いてペレットも食べた。これでひとまず安心だ。
翌日、動物病院に、ファンののどから引き抜いた「織物」を持って行くと、獣医さんも驚いていた。うさぎがこういうものを吐くのはかなり珍しく、これまで聞いたことがないらしい。
うさぎは生物学的に、犬や猫のように「吐くことができない」動物だと言われている。が、異常を感じたときには「なんとかして吐き出そうとする」動物であることを、私はこの体験から知った。
もちろん、この時の私はラッキーだった。細長い織物という、引っ張ればのどから引き抜くことができる「異物」だったからだ。だから異物を飲み込んでしまった全てのうさぎに、私の体験が活かされるとは思わない。だがもし、これを読んでいるうさぎの飼い主さんがいたら、「うさぎは『吐けない』と言われているけど、非常時には『吐き出そうと』努力はする。だからもしうさぎのそんな様子を見たら、口の中を覗いてみて、引き抜けそうな異物なら引き抜いてほしい」と伝えたい。

ーーとまあ、自慢げに書いてしまったが、そもそもそんな異物を飲み込ませるような環境を作らなければいいわけで。いかにもうさぎが引っぱって飲み込みそうな、毛の抜けやすい毛布を敷いた私がバカだった。そんなバカな真似をする飼い主はそうそういないだろう。

こうしてファンは、うさぎの生物学的にはありえない方法で一命を取り留めた。この時には、こんな奇跡的な方法で生き延びたのだから、このうさぎはこれからもまだまだ生き続けると確信していた。まさかその半年後に、突然のサヨナラをすることになるとは、この時は夢にも思っていなかった。

続く
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ご無沙汰しています。

「バラトピ」にも書いたのですが、先日、今年1番の感動といっても過言ではない出来事がありましたので報告します。

ここのところバラックについての情報がほとんどないので、先日ドイツ人客員准教授とお話しする機会があったので、思いきってバラックについての近況を聞いてみました。

「ミヒャエル・バラックを知っていますか?」

サッカー大国ドイツにおいてもアカデミックな方はサッカーに冷ややかだったりするので、恐る恐る聞いてみたところ、何とその方は、

「もちろん、知っている。彼はサムライだ。」と、答えてくれました。

わたくし、思わず号泣してしまいました。

ヒーローやカイザーではなく、”サムライ”・・・何とバラックに相応しい言葉でしょう!


バラックがドイツの為、所属クラブの為、必死で戦ってきたこと、バラックの人生を、バラックのサッカー人生を、ちゃんと理解してくれているドイツ人がいるということに、本当に報われたような思いでした。


この記事とは関係ないコメントで申し訳ありません。




liebeballack | 2014/03/16 17:35
liebeballack様

コメントありがとうございます!
その客員准教授の方のバラックについてのコメント、嬉しいですね。日本にいるドイツ人として、日本人以上に「サムライ精神」「侍魂」について感じるところがあり、そのようなコメントになったのかも。

一言でサムライ精神といっても人によって定義は様々だと思いますが、私がパッと思いつくのは、
「あらゆることに動ずることなく、いかなる逆境にもへこたれず、己に打ち勝ち、誇り高く前を向いて歩く精神」
「いざという時には主人(チーム)のために、自分を犠牲にする。己を殺して他を生かす、自己犠牲の精神」
でしょうか。

バラックについてはドイツ国内のファンの間でも「彼は過小評価だ」とか、その反対に「いや、過大評価だ」などと、評価はまちまちみたいですが、彼の肝っ玉の強さや誇り高さ、逆境にめげない強さ、ファイターであることなど、「精神力」の強さについては全員一致で同意しているみたいです。だから、客員准教授の方の「サムライ」って表現はまさにぴったりだな〜、と。
liebeballack様、嬉しい情報をどうもありがとうございました♪
めえこ | 2014/03/16 18:31
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