何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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ゲッティング・レディ・フォー・クリスマス・デイ
今週の私は、ポール・サイモンの「ゲッティング・レディ・フォー・クリスマス・デイ」状態。クリスマスの準備、準備、準備をしなきゃ。
月曜日には、クッキーの型を買いに街まで。
火曜日には、クッキーを焼いて。
水曜日には、焼いたクッキーにアイシング。でもプレゼントとして配るには数が足りないと思い、木曜日の今日、さらに新しくクッキーを焼いた。明日、またアイシングして完成させる予定。
……って、たかがクッキーにどんだけかかってんねーん!(笑)。アメリカ人のクリスマスの準備は、もっともっと大変なのだ。とくにお父さんは。仕事をバリバリやるのはもちろん、家族サービスもきっちりやらなきゃ、女房に愛想つかされてしまうのがアメリカの父親。端で見ていて気の毒になる……と、かつてアメリカで働いていた義理の弟が言ってました。
まあ、ポールの「ゲッティング・レディ〜」を聞いても、クリスマスを前にした父親の焦燥(?)みたいなものが伝わってくる。そして5年前、クリスマスシーズンにアメリカを旅行したときのことを思い出す。妹と一緒にスーパーに買い出しに行ったとき、アメリカ人の主婦はもちろん、お父さんも買い物に来ていて、びっしり書かれた「買い物リスト」を手に、真剣な表情で食品をカートに入れていた。冷凍の七面鳥を、二個も三個もカートに入れている人も少なくなかった。アメリカ人にとって、クリスマスは「家族で盛大にお祝いする日」。「クリスマスに向けて準備に準備を重ねている」というポールの歌詞は、決して大げさではないのだ。
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クリスマスの時期になると、アメリカのスーパーには冷凍の七面鳥が並ぶ。
(クリスマス時期以外にも売られているけど、仕入数が少ないのではと思う)


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「彼は夕飯に七面鳥を食べるだろう」

この歌には、1920年代から40年代にかけて活動したJ・M・ゲイツ牧師の説教が組み込まれている。だが、あらかじめそのことを知ってから聞かなければ、「これがゲイツ牧師の説教か」とはほとんど気づかない。それほど、ゲイツ牧師の声が違和感なく歌に溶け込んでいる。まるでゲイツ牧師がこの歌のために、バックコーラスで参加しているような臨場感。ポールのギターに合わせて、ノリノリで歌っているような。牧師であると共にゴスペル・シンガーでもあったゲイツ師が「ええ声」をしているのも、バックコーラスに聞こえる理由の一つだろう。

このゲイツ牧師、日本ではあまり馴染みがない人物で、私もこの歌で初めて知った。日本版CDのブックレット、冒頭のエルヴィス・コステロの解説だと「J・ M・ゲイツ牧師」なのに、続く天辰保文の解説では「J・M・ゲイツ神父」。どっちやねん、と思って調べたら、アメリカではpastor(牧師)と表記されていた。つまり、コステロが正しかった。(牧師と神父をごっちゃにするのは、日本人にはありがちである)
ゲイツはバプテスト派の牧師で、数多くの説教を録音した。その説教の特徴は、罪人には地獄の刑罰が待ち受けているとの、強い警告だったそう(アメリカのウィキペディアより)。

…… 驚いた。アメリカって1920年代から、説教を録音して販売していたんだ(え、驚くところが違う?)。ゴスペルをこよなく愛するポールのこと、そういう「説教レコード」にも慣れ親しんでいたと思われる。マーティン・ルーサー・キング牧師の説教を聞いても分かるように、力強い説教には、まるで音楽のようなグルーヴ感がある。

「ゲッティング・レディ〜」に収録された部分だけ読むと、ゲイツ牧師の説教は「もうすぐクリスマスだと浮かれているけど、いつ死が訪れるか分からない。永遠の生命を得ようとするなら、悔い改めよ」という主旨のように思える。この説教を歌に組み込むことで、ポールは何を訴えようとしているのか、考えてみるのは面白い。もちろん、歌詞の意味など抜きにして、ポールのギターを聞くだけでも楽しい。罪人への刑罰を警告する説教を、シリアスなメロディーではなく、ノリのいいリズムに合わせてしまうところがいかにもポール。「あのゲイツ牧師の説教を歌にしてやったぞ」的なこれ見よがしなところが全くなく、言われなければ気づかないほど。このさりげなさが、ポール・サイモンの凄さなのだ。
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