何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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皇帝トランプと「ラストエンペラー」
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今、私の手元には、歴代の中国皇帝の肖像画トランプがある。今年のGWの一ヶ月前、唐突に「そうだ中国行こう」と思い立ち、7泊8日の旅行中に買ったのがこのトランプだ。旅行中はずっと北京に滞在し、あちこちの観光地を見て回ったが、その一つ、世界遺産である天壇公園の売店でこのトランプを購入した。
中国に行った理由は、半年前のタイ旅行がきっかけともいえる。あれでアジア旅行のお気軽さを知り、次はベトナムか台湾にでも行こうかなと考えていたところ、「でもアジアならやっぱりまずは中国やん?」と思い立った。

GWの一ヶ月前に行き先を決めたので、そこから慌てて中国の歴史本などを読んで付け焼き刃の知識を身につけた。映画「ラストエンペラー」も、「とりあえず中国行くならコレは見とかな」と、出発の三日前にようやく見た。印象的だったのは、ラストシーン。最後に再登場するコオロギ、あれはやっぱり溥儀をあらわしてるんだと思う。というのも、溥儀が見守る前で守衛の子どもが筒を開けたときは、コオロギは出てこなかった。だが次に子どもが振り返ったとき、溥儀の姿がこつ然と消えていた。あれはやっぱり溥儀の「死」をあらわしているのだろう。その証拠に、溥儀が消えた次の瞬間、コオロギが筒の中からあらわれたのだ。生涯檻の中に閉じ込められ続けた溥儀は、その死によって、ようやく檻から解き放たれた。そのことを、監督はあのコオロギを通して伝えたかったのだと思う。
その後のシーン、観光客を引き連れて大和殿にやってきたガイドが「最後の皇帝は溥儀。3才で即位し、1967年に亡くなった」と説明するシーンも印象に残った。簡潔極まりない人物紹介が、かえって心にしみる。というのも観客はその溥儀の、時代に翻弄された波乱の生涯を映画を通して見てきたわけで、だがその生涯も観光ガイドの口からはたった一言、二言のそっけない説明で終わらせられてしまう。そのギャップが切なく、心に残る。

先に紹介した、中国旅行のみやげであるこのトランプも、そんな切なさを感じさせる。
秦の始皇帝から始まる歴代皇帝たちの肖像画がずらりと並ぶが、最後の溥儀のカードだけは肖像画ではなく、肖像写真だ。また、カードにはそれぞれの皇帝の略歴も肖像画の下に書かれているが、溥儀の写真に添えられた略歴も、映画でガイドが話したのと同じようなものだ。「3才で即位し、1967年に亡くなった最後の皇帝」と。
他の皇帝たちも、それぞれ簡単な略歴が肖像画の下に添えられているが、彼らも皆それぞれに、溥儀と同じようにドラマチックな人生を送ったのだろうということが、この簡潔な略歴から鮮やかに想像できる。
いや皇帝たちだけではない。歴史に名を残さなかった大多数の人たちのそれぞれの人生も、たとえ略歴はそっけなくても、その行間の向こうにその人だけのドラマチックな生涯を想像できるようになった。それが今回の中国旅行で得た、かけがえのないものの一つかもしれない。

でも買ってから分かったことだけどこのトランプ、中国の歴代皇帝が全員載ってるわけではなかったわ。

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