何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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見る阿呆2015(2)
11日の観覧紀ではなんだか冷静に「阿波踊り初見物」の感想をつづっているが、あれは一晩たった後に書いたからであって、実は初めて阿波踊りを見た瞬間、私は感動の涙を流していた。私はけっこう感激屋で、スポーツの試合などでもすぐ泣く。阿波踊りを見て泣いたのは、この一年間のたくさんの人の思いと努力が、このわずかな時間に凝縮されてるんだなあと思うと、こみあげてくるものがあったからだ。

■8月12日・徳島市
阿波踊り期間中は、徳島市内のホテルは予約がとりづらいだろうなあということは、想像はしていた。だがいざホテルを探してみて、私は阿波踊りをなめていたことを痛感した。8月12日に泊まれるホテルが、本当に一件もない。今、これを書いているのは8月13日の朝、阿波踊り会館の二階ロビーで阿波踊り公演が始まるのを待っている間だが、私の隣に座っている家族が「昨夜は泊まるところがなかったので車の中で寝た」とか話しているし。車はある意味「走る個室」なんで寝るのはまだなんとかなっても、この夏の暑い時期にシャワーを浴びれないのは辛いだろう。
私も旅行前にホテルが見つからなかったときは「最悪ネカフェで泊まろう」と思ったが、そのネカフェも徳島にはあんまりなくて、阿波踊り期間中はすぐ満員になるのだとか。本当にハンパない。

結局、近隣の駅まで範囲を広げた結果、徳島駅から電車で約45分離れた鴨島駅近くの旅館を押さえることができた。そう、ホテルではなくて旅館。トイレとお風呂は共同で、もちろんwifiも通っていない。
だがどうせ寝るだけだから、別にいい。それより駅の目の前の立地というのがありがたい。阿波踊り観覧後、宿に帰るのはどうしても深夜になるから、駅から近ければ近いほどいい。
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鴨島駅

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鴨島駅のホームに貼られていた祭りのポスター。左がさぬき高松まつり。右が徳島市阿波おどりで、写っている女性は「阿波扇」の踊子だそう。
こう言ってはなんだが、やはり徳島市の阿波踊りは全国区で、高松まつりは地元民向けという感じが、ポスターが二枚並ぶとよく分かる。高松まつりは徳島のように、全国から観光客を誘致しようという気があまりなさそう。
私はこの後、8月14日に高松市に移動し、全国一長いといわれるアーケード商店街を散策した。あいにくその日の16時に大阪に帰ったので、その夜行われる高松まつりは見れなかったが、商店街で総おどりが行われるらしく、その準備が進んでいた。

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昼食は徳島駅前の「セルフうどん やま」で。人気店らしく、14時を過ぎていたのに店内はほぼ満席。
この後、高松で食べた「さか枝」のさぬきうどんがおいしすぎてこの「やま」のさぬきうどんの印象が薄らいでしまったが、やはり四国、レベルは高い。翌朝も、私はこの店で「朝うどん」を食べた。駅前という便利さもあり、次に徳島に行ったらまたぜひ利用したい。

セルフうどん やま
http://grand-p.co.jp/yama/

この日は20時半から、南内町演舞場で踊りを観覧する予定。すでにチケットも買ってある。それまでの時間、街中をぶらぶら散策した。
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南内町演舞場の前を通りかかると、「映画・眉山ロケ地」という弾幕が誇らしげにかかげられていた。

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南内町演舞場の目の前、両国橋には阿波踊りの銅像が。

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両国通りには無料演舞場が設けられている。踊りが始まるのは18時だが、15時のこの時間から、すでに席に座って待っている人がいた。無料なので、席は早いもの勝ちなのだ。だが座って待っている人は少数派で、座る代わりに、座席に紙などをテープで貼って場所取りしている人が多かった。

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この両国演舞場はもっとも距離が長く、「踊子泣かせ」らしい。そのことをもじった、両国通りの飲食店の立て看板。

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徳島が「アニメの町」として町おこししていることは前に書いたが、市内の地鶏料理店の店頭に貼られたポスターもアニメ絵。

この日も猛暑日で、散策していると暑さでちょっとばててきた。そこで去年も行った「阿波おどり会館」に涼みに行く。あそこは土産物スペースが広く、見ていて飽きない。

当たり前だが、去年9月に来た時とは比べ物にならないくらい観光客でにぎわっていた。阿波踊りに関するみやげも豊富に揃うが、驚いたのは、有名33連、それぞれのグッズがあること。どうやら徳島では、有名連はタレント並みの人気と知名度があるらしい。
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中でも、圧倒的に人気があるのが阿呆連。私が見つけた33連グッズは2種類だが、どちらも阿呆連グッズが売り切れていた。
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涼みがてらお土産スペースをうろうろしていると、やがて外から太鼓の音が聞こえてきた。つられるようにして会館を出ると、すぐ隣の眉山天神社の階段下で、連の人たちが練習をしていた。
時計を見ると17時過ぎ、いよいよ阿波踊りの初日が開幕するという雰囲気が高まってきた。

夕方になって少しは涼しくなってきたので、そのまま眉山天神社の階段を登る。この神社は、中の施設が連の「楽屋」に割り当てられているらしく、いくつかの連が荷物を運んだり、振り付けの練習をしたりしていた。
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体操ポーズのお地蔵さん。その向こうでは連が踊りの練習中。リーダーが「しんどいけど、基本的に腰は落として踊ること。その方がかっこよく見える」と指導していた。
阿波踊り、特に男踊りって、いかにも腰をいわしそうな踊りだわ…。

そうこうしているうちに18時。上空に花火があがって、いよいよ今年の阿波踊りが開幕した。だがまだ空は明るいため、花火が見えない。もしかしたら花火ではなく、爆竹かもしれない。まあそんなことはどうでもいい。
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ビルの屋上にデビルマンを発見。下界で行われている祭りを見物してるみたい。

私が有料演舞場に入れるのは20時半から。それまで無料演舞場で踊りを見ようと思ったら、甘かった。無料演舞場はどこも見物客で分厚い人垣ができており、そのすきまから踊りを見物。
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四国電力・徳島支店前も阿波踊り会場に。ここでは平和連の踊りを見物。

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踊り終わった連の人たちは、次の演舞場へと歩いて移動する。その様子を普通に見て、気軽に話しかけたりしている地元民。私のような観光客は、連の人たちの隣を歩くのも遠慮してしまうのだが。先に書いた事と矛盾するようだが、徳島市民にとっては有名連といっても、知り合いがその連に入っていたりして、「町の人気者」的な親しみのある存在なのかも。

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移動中も歌い踊っていた、サービス精神あふれる「ほると連」の人たち。祭りを心から楽しんでいるようで、見ている方も楽しくなる。

歩き疲れたので、幸町公園のベンチで休憩。座ってから気づいたが、目の前に集合写真を取るための椅子などが設置されていて、次々に色んな連がやって来て写真を撮っていた。中でも面白かったのは、徳島市国際交流協会連の人たち。メンバーの半分は外国人で、リーダーの黒人のお兄さんがカタコトの日本語で「ヤットサー!」と呼びかけていた。そして黒人のドレッドヘアーのお姉さんの、ハッピ姿のかっこいいこと。
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高張り提灯を持つ白人のお兄さん。足元は足袋ではなくスニーカー。

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日本生命連の皆さんも記念撮影。
そんな風景をぼーっとベンチで見ていうるうちにだんだん空が暗くなってきた。演舞場の第二部は20時開場。街中がぞめきのリズムで沸き立つ中、人ごみをかきわけて南内町演舞場に向かう。

だがタイミングが悪い事に、ぽつぽつ雨が降り始めた。かと思うとまたやんだり。不安的な雲空の下、南内町演舞場に行くと、演舞場周辺には行列ができていた。
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南内町演舞場は新町川沿いに設けられており、入場を待つ間も、川からの風が心地よい。

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雨が降ったため座席が濡れていて、その清掃のため開場が20分ほど遅れた。ようやく場内に入って席につく。南内町演舞場の川側、A席。本当はS席が良かったけれど、一ヶ月前にはすでに完売していた。

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いよいよ開演。トップで踊りこんできたのは葉月連。トップだけあって、祭りのムードを盛り上げるとても小気味いい踊り。そして粋な黒ハッピのお姉さんたちの、腰を深く落とした踊り方が、かっこいいけどいかにも腰が辛そう。男踊りの自由奔放な乱舞も迫力満点で、後ろに座る若い男性がしきりに「すげえ!」と感嘆していた。

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この演舞場はびっくりするほど踊り子と観客の距離が近く、臨場感あふれる踊りが楽しめる。客の目の前まで踊りこんできた踊り子は、カメラを向けられると「どう?」とばかりに満面の笑み。撮られることに慣れているというか、プロである。
徳島市は観客もプロだ。「踊り子たちを盛り上げよう」という意識が高く、かけ声などで場を盛り上げるのがうまい。
たとえば昨日の鳴門市では、私が座った有料演舞場の周りの観客たちだけかもしれないが、目の前で連が踊っているのに、その向こうにいる吉本新喜劇の役者に目が釘付けで、「はよサインもらいに行って!」と子どもをたきつける親が何人かいた。だが徳島市ではみんな目の前の踊りに集中していて、拍手や歓声はもちろん、ここぞというタイミングで「いよーっ!」「かっこいいーっ!」などと盛んに声をかけていた。なんというか、踊る方もプロなら、見る方もブロ。踊り子も見る側も、「盛り上げ方をわかっている」という感じ。
対する鳴門市はいい意味で「ローカルなお祭り」で、時には新喜劇の芸人の方に目を奪われたりと、のんびりと自分のペースで祭りを楽しんでいる。それぞれに個性があり、どちらも楽しい。

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ほんま連。若い女性たちで構成されているという女ハッピ踊りの、あふれんばかりの健康美。笑顔も輝いていて、まさに「ピチピチ」という死語が似合う。この夜、このシーンだけアイドルのコンサート的な観客の盛り上がりを感じた(笑)。

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祭りがいよいよ盛り上がる後半、突然雨が降り出して、桟敷席にいっせいに傘の花が咲いた。そして、雨に負けじとますますエネルギッシュに踊る踊り子たちに声援が飛ぶ。

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通り雨はしばらくして止んだ。終盤は無双連、阿呆連と、人気連が立て続けに踊りこんできて観客の興奮もヒートアップ。写真は阿呆連。

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躍動する踊り子たちの、地面に映るシルエットもまた美しい。

旅行前に「鳴門と徳島はレベルが違う」と聞いていた。その「レベルの違い」を端的に感じたのは、実は子どもたちの踊りだった。徳島市の阿波踊り、特に有 名連の子どもたちはめちゃくちゃ上手い。鳴門市の阿波踊りでは、子どもの踊り子が出てくるといささかだらけていた私だが、徳島市では子どもたちの上手さに 終始目が釘付けだった。

そしてこの日、トリを飾ったのは「レレレの連」。アナウンスでは「人気連」と言っているし、トリを飾るからさぞかし凄いんだろうと思っていたら、脱力系の連だった(笑)。というか、あれを阿波踊りと言っていいのか。アイデアとネーミング勝ちという感じ。だが祭りを見終わった後、もっとも耳にこびりついたのが「レレレの連!」というかけ声なんだから、なんだか負けた気分。

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そしていよいよフィナーレ、南内町演舞場ならではの総踊りが始まった。これがあるから私はこの演舞場の二部のチケットを買ったのだ。鳴りもの隊が演奏しながら行進してくるさまは圧巻。
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鳴りもの隊の一人が、途中で桟敷席に上がり込んで笛を吹いていた。
踊り子たちもわりと整然と踊りながら行進していて、鳴門市の総踊りのような、連たちがごちゃ混ぜになって自由に乱舞する、というシーンはなかった。もっと乱舞すると思っていた私はちょっと意外だったけど、この演舞場は道幅が狭いので仕方ないのだろう。

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踊りが終わって演舞場を出たのが22時40分頃。23時の電車に乗るため夜道を急ぐ。ふと見上げると、ライトアップされたデビルマンが夜の町を見下ろしていた。
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