何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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バウハウス・アーカイヴに行ってきた。
ドイツに、バウハウスを記念・研究する施設は三つある。バウハウス発祥の地・ワイマールにあるバウハウス博物館(Bauhaus-Museum)。ワイマールからの移転地・デッサウにあるバウハウス本校舎。そしてバウハウス終焉の地・ベルリンにあるバウハウス・アーカイヴ。
もっともメジャーなのは、やはりデッサウのバウハウス建築群だろう。本校舎とマイスターハウスは、ユネスコ世界遺産にも登録されており、「デッサウ=バウハウス」のイメージすらある。私も当初、ベルリンからちょっと足を伸ばして、デッサウに行くつもりでいた。ベルリンから充分、日帰りできる距離らしいし。だがサッカーの試合日程の関係で、ベルリンには一日しか滞在できないことになり、デッサウ行きは諦めた。代わりに、ベルリンのバウハウス・アーカイヴにはなんとしても行きたい。「一日しか滞在できないなら、ケルンからの往復の飛行機代がもったいないし、ベルリン行くのやめちゃえよ」という悪魔のささやきも聞こえたが、ドイツに行ったからにはバウハウス見るんだ!と半ば意地になってベルリン行きを強行した。

そこまでしてバウハウスが見たいということは、よっぽどバウハウス好きで、日頃から研究してるんだなと思われるかもしれない。が、まったくそんなことはなく、バウハウスに関しては初心者も初心者。関連書物も3冊ほどしか読んでいない。でも初心者だからこそ、「まずは現物を見てみたい」という思いが強いのだ。

さてバウハウス・アーカイヴへの行き方だが、調べてみると、電車・地下鉄の駅からは離れていることが分かった。路線バスに乗って、「Lutzowplatz」というバス亭で降りるのが一番近い。
10月21日の昼過ぎにベルリン到着。翌朝、ツォー駅のバスターミナルから100番バスに乗る。
100番の他に、187・M29番のバスも「Lutzowplatz」に停まるらしいが、頻繁にターミナルにやってくる100番バスに乗るのが一番手っ取り早い。ただ、観光スポットを回る100番バスは観光客でいつも混雑している。ツォー駅から乗った場合、「Lutzowplatz」のバス亭は4つ目。なので2階席に上がらず、1階の出口付近にいた方がスムーズに降りられる。
バスを降りると前方に大きな川があるので、橋を渡る。すると右手に「赤・青・黄」のノボリを発見。バウハウスを象徴する三原色だ。ここで一気に「バウハウスの世界に来た!」という感慨がわき上がる。

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反対側の道路から、アーカイヴを望む。

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バウハウスを象徴する三原色を使った、カラフルなエントランス

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エントランスを過ぎると、「Museum」の矢印に沿って「空中通路」とでもいうべき橋を渡る。ちなみに「Museum」はムゼウムと発音。この語感が好き。

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空中通路はけっこう長く、ムゼウムの入口までが遠い。建物を設計したのは、バウハウスの創始者ヴァルター・グロピウス。……だからか!この妙にもったいつけてる設計は(笑)。「これから出会うバウハウスアートへの期待を、この通路を歩きながら高めて下さい」という感じ?

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施設は幾つかの建物に分かれており、かなり大きい。なので近距離からその全貌をカメラに納めるのはムリ。一般客には公開していない建物もあるようだ。

入口に入って入場券を払うと、まずは荷物を地下のコインロッカーに入れるように指示される。ちょっと大きめのバッグ類は持ち込み禁止。ボストンはもちろん、肩掛けできるトートバッグも、「大きすぎるからロッカーに入れてね」とお願いされた。
受付で国籍を聞かれたので「ヤーパン」と言うと、日本語ガイダンスのヘッドフォンを貸してくれた。これはありがたい。
日本語の音声案内を聞きながら、展示品を見て回る。ちなみに館内は撮影禁止。(コンデジで写真を撮っていた女の子がいたが、スタッフに注意されていた)
バウハウスといえぱ、機能的でシンプルなデザイン。近世まで続いていた手作業のぬくもりを否定するような、合理的な工業製品といったイメージがある。だが展示されている作品はいずれも、手作業のぬくもりを感じさせた。どの作品も、作られてからまだ100年も経っていないからだろうか。なんだかとても身近に感じる。今、私たちが使っている製品デザインの「元」となっているから、というのもあるだろう。

バウハウスの代名詞ともいえるマルセル・ブロイヤーのパイプ椅子は、天井の高いフロアの壁に、宙を泳ぐようにして貼り付けられていた。「主役扱い」されているブロイヤーの椅子の影で、ブロイヤーより先にパイプ椅子をデザインしたものの、運が悪くて世に出なかったという人の椅子も展示されていた。やはり、世に出るには「運」も必要なのか。でもブロイヤーの椅子ほど有名になれなくても、こうしてアーカイヴに展示されているからまだ、幸せかも。
およそバウハウスらしからぬ、民芸調の木の椅子も印象的だった。万博の民族博物館に展示されているような椅子で、あの近代デザイン空間の中で明らかに異彩を放っていた。(というか浮いてた)

学生たちのスナップ写真も展示されていた。校内で写真展が行われた際、学生たちが互いの写真を撮り合ったらしい。約100年前の若者たちは、今の若者となんら変わらぬ生き生きとした表情で映っていた。ちょっと気取ったポーズが多いのが芸術系の学生ならではで、「みんな青春してるなあ」って感じ。今や伝説化されているバウハウスだが、そこで学んでいたのはごく普通の、芸術を志す若者たち。そのことがリアルに伝わってきて、バウハウスにぐんと親近感が沸いてきた。

時間があればもっとゆっくり見たかったが、昼過ぎの飛行機でケルンに戻らなくてはならない。帰り際、併設されているショップに寄った。バウハウスデザインのポスターや雑貨などが販売されていたが、懐に余裕のない私はポストカード一択。カードは種類豊富で、初めて見る写真(教授たちが並んで笑っているものなど。特にグロピウスが笑っている写真は珍しいかも)も多く、どれにしようか迷った挙げ句、選び抜いた8枚を購入。会計をしてくれたスタッフのお兄さんがフレンドリーだった。
ショップの隣にはバウハウス・カフェもあったが、時間がないので素通り。バウハウスデザインのポットでコーヒーが飲めたりするんだろうか? コーヒーも、バウハウスに関わったアーティストごとにメニューがあると楽しい。鋭角的で際立った酸味の「モホリ・ナギブレンド」とか。カンディンスキーブレンドは、バランスの取れた抽象的な味わいとか(どんな味やねん)。

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ムゼウムに併設されているショップ&カフェ。

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ショップで購入したポストカード(1枚1ユーロ)
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