何年たっても、まだ狂ってる。
Still Crazy After All These Years (Paul Simon)
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サイレント・アイズ
毎年、この時期になると思い出す情景がある。
2006年のクリスマス。フィラデルフィアの中心街は、クリスマスの広告や飾りつけで賑やかだった。ショップが並ぶ大通りを忙しく行き交う人々。その流れに沿って歩きながら、ふと横を見ると、暗闇の中からじっとこちらを見つめる瞳と目があった。――「サプライズ」。この年、発売されたポールのアルバムとの思わぬ遭遇。そこは、すでに閉店していたタワーレコードの店舗だった。(米タワーレコードはこの年の8月に倒産)
閉店セールも終わり、誰もいなくなった店内は照明も落とされていた。だが「サプライズ」を含む4つのアルバムポスターだけは、バックから照明を当てられ、暗闇の中でそこだけぽつんと明るかった。
賑わう街並みを、忙しく通り過ぎていく人々を、暗闇からじっと見つめるもの言わぬ目。
なんてポール・サイモン的なシチュエーション。私はしばしその場に立ちすくみ、その瞳と対峙していた。胸に響くBGMは、もちろん「サウンド・オブ・サイレンス」。(続いて「サイレント・アイズ」)



闇の中から雑踏を見つめる、あの赤ん坊の目はポールの視点だ。
だが「サプライズ」が発表されたとき、私はあのジャケットが「ポールのアルバムにしては」あざとく感じて、あまり好きではなかった。いかにもジャケ買いされることを狙っていそうな、目を惹き付ける写真とデザイン。実際、閉店したタワレコの店内でも、4枚のアルバムの中でひときわ目立っていた。
確かに赤ん坊の顔のアップは目立つ。でも同じアップなら、おじいちゃんになったポールの顔をアップにしてくれたらいいのに。
そんなふうに思っていたが、その年のクリスマスに偶然、街中でジャケットと遭遇したとき。あの赤ん坊の無垢な瞳は、ポールそのものなんだと気がついた。
このとき、すでに私のカバンに「サプライズ」が入っていたかどうかは覚えていない。この日、大型書店内のCDショップで「サプライズ」を買ったのは確かだが。発売から半年もたってから購入したのには訳がある。12月にアメリカに行く予定だったので、「サプライズ」はアメリカで買いたいと思い、購入をとどまっていたのだ。「アメリカのレコード屋でCDを買う」という体験がしたかった、というのもある。(そんでもって、レジの人と「あなたポール・サイモン好きなの? 私もよ」なーんて会話ができたらなー、とか(笑)。しかしそんな会話は全くなかった……)
今思うと、日本語の歌詞対訳がついてないUS盤は不便だし、別にアメリカで買う必要はなかったんじゃないかと思う。だがあの日、フィラデルフィアで出会った「もの言わぬ目」が、その日に購入したことも含めて、このアルバムへの思い出を今も特別なものにしている。
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めえこさんのポール・サイモンについて書いた文章が大好きです(10年以上前、自分がまだ大学生だった頃からずっと)。最近はポールの音楽を聴いていますか?また、ポールについて色々語ってくれると嬉しいです。
洋楽好き | 2017/08/12 22:59
洋楽好きさま、初めまして!コメントありがとうございます♪
そして、返信が送れてすみません。
10年以上前から、私の文章を読んでいてくれているなんて嬉しいです。
もちろん最近もポールの音楽を聞いています。もはや生活の一部というか^^;
あいにくなかなかまとまった文章を書く時間がないのですが、また機会があればぜひポールについて書きたいと思っています。
やっぱり彼にはstill crazyですから。たぶん、死ぬまでずっと。
めえこ | 2017/08/25 20:13
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